「日本企業のDXは業務改善レベル」 ガートナーが“顧客応対プロセスの体系化”を強く勧める理由:「競争力強化につながるDXを実現する大企業は1割以下」
ガートナージャパンは、アプリケーションに関する展望を発表した。同社は、現在日本企業が取り組んでいるDXの成果は、多くがコスト削減や作業の効率化/自動化の実現のような、業務改善レベルのものだと指摘する。
ガートナージャパンは2023年3月1日、アプリケーションに関する展望を発表した。それによると、ビジネスの変革までを目指してDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる企業の割合は少なく、2026年になっても、競争力強化につながるDXを実現する日本の大企業は10%に満たないという。
鍵は「顧客応対プロセスの体系化」
競争優位性を確保するには「非効率なアプリケーションの改善や付加価値のあるエクスペリエンスの提供など、アプリケーション改革を実行して競争力を強化することが重要だ」とガートナージャパンは指摘。だが、現在日本企業が取り組んでいるDXの多くがコスト削減や作業の効率化、自動化の実現といった業務改善レベルだという。
「日本企業は、個別業務に注力する属人的なプロセスが残っている企業が多く、“アプリケーションを活用して顧客に付加価値を提供する”というビジネス本来の目的を達成できていない。競争が激化する環境で成果を得るには、顧客の望む商品やサービスを競合他社に先駆けて、顧客が望む形で提供する必要がある」とガートナージャパンの片山治利氏(シニアディレクター)は述べている。
ガートナージャパンは「デリバリースピードや再現性、スケーラビリティといったデジタル技術の長所を活用して進める方が、中長期的には高い競争力を獲得できる」としている。
同社は「2026年にかけて顧客応対プロセスの体系化に取り組む日本企業の80%以上は、DXを通じてビジネス目標を達成し、市場競争力を勝ち取る」と予測する一方で、旧態依然で属人的な顧客応対プロセスを継続する企業は「大きな後れを取る」と警告している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 課題だらけの建設業界でDXの波を生み出す、「学びの場作り」の大切さ
DXをどのように進めたらよいか分からず、焦りを覚えている中小企業のDX担当者や経営者のモヤモヤを吹き飛ばし、DX推進の一歩目を踏み出すことを後押しする本連載。第4回は、人材不足などの課題が多い建設業界の中小企業が始めた、DXのための取り組みを紹介する。 - データ活用担当者の約7割が感じる「分析疲弊」とは? ウイングアーク1st調査
ウイングアーク1stは、DX人材とデータ活用に関する実態調査の結果を発表した。社内の非専門家がデータの活用や分析を実施している企業が約半数だった。 - IT予算を2〜4ポイント増やすだけで収益成長率が上がる企業の共通点とは アクセンチュア
アクセンチュアは、調査レポート「解き放たれる価値:相互運用性が抜本的な成長をもたらす」を発表した。それによると「相互運用性」が高い企業は、低い企業と比べて6倍速く収益成長することが分かった。