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Microsoftは強力なAIをどう生かすのか? Azure、GitHub、Bingなど製品別の活用を見るAzure OpenAI ServiceへのGPT-4搭載も予定

日本マイクロソフトはオンラインイベント「Azure AI Day 2023〜最先端AIテクノロジーのこれからと今〜」を開催し、自社製品、サービスに適用されたAIなどに関するアップデートを紹介した。

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 日本マイクロソフトは2023年3月16日、オンラインイベント「Azure AI Day 2023 〜最先端 AI テクノロジーのこれからと今〜」を開催し、自社製品、サービスに適用されたAIなどに関する最新のアップデートを紹介した。

 始めに、Microsoftが近年注力してきたAIに関する直近のトピックを紹介した。


2018年から2022年1月までの大まかなAI注力の動き(提供:日本マイクロソフト)

 2023年に入ってからMicrosoftから発表されたAI関連のニュースは次の通り。

  • 2023年1月
    • 1月16日、「Azure OpenAI Service」正式サービス発表
    • 1月23日、OpenAIとのパートナーシップ拡大
  • 2023年2月
    • 2月3日、「Microsoft Teams Premium」「Microsoft Viva Sales」へのGPT-3モデル搭載
    • 2月8日から28日、「Microsoft Bing」「Microsoft Edge」「Skype」に対話型に特化した次世代モデルを搭載、Prometheusモデルの発表
  • 2023年3月
    • 3月1日、Windowsへ新しいBingを組み込み
    • 3月6日、「Microsoft Dynamics 365 Copilot」の発表
    • 3月9日、ChatGPTがAzure OpenAI Serviceで利用可能に

Microsoft CloudにおけるAI活用

 次に、クラウドプラットフォーム「Microsoft Cloud」におけるAIを活用した製品を紹介した。Microsoft Cloud自体がAIに必要なコンピューティング技術を支えており、「クラウドソリューションの幅と深さにおいて極めて強力でありユニークな存在」(日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 岡嵜 禎氏)だという。


Microsoft CloudにおけるOpenAIが開発したAIモデルの実装プロダクト領域(提供:日本マイクロソフト)

 Microsoft CloudでAIが実装されているプロダクトは以下の通り。

GitHub Copilot

 開発者に最適化されたプラットフォームで、GitHub上で使用できるAIの支援を受けながらコーディングができるというもの。GPT-3の派生モデル「Codex」がネイティブに統合された初めての製品だという。一般的なプログラミング言語においてプロジェクトの文脈に沿って最適なコードを自動で生成する(関連記事:AIペアプログラミング「GitHub Copilot for Business」正式公開、タスクの55%高速化は本当?)。

Azure OpenAI Service

 OpenAIが開発した事前学習済みモデルをMicrosoftのマネージドサービスとして提供するもの。文章生成や要約が可能な「GPT-3/3.5」「ChatGPT」、コードを自動生成するCodex、画像生成が可能な「DALL・E」を提供している。2023年3月14日に公開された「GPT-4」も実装を予定している。


生成系AIの詳細(提供:日本マイクロソフト)

Power BI

 データプラットフォーム「Microsoft Intelligent Data Platform」の構成要素のうちの一つ。2021年に自然言語で「Power BI」と対話することで、分析レポートを自動で生成できる機能が追加された。SQLなどのクエリを書く必要がなく、自動でレポートを描画でき、迅速なレポート作成と意思決定が可能になる。

Microsoft Teams Premium

 通常プランでもノイズキャンセリングなどの機能をAIを活用し提供しており、Premiumプランでは、会議要約や議事録の生成、録画データではアジェンダやトピックごとにチャプターを自動で切り分ける機能が搭載(モデルはGPT-3.5)されている。

Microsoft Dynamics 365 Copilot

CRM(Customer Relationship Management)とERP(Enterprise Resources Planning)の両面でAIが業務支援を行う。AIが顧客の質問や応答のレスポンス、メールの文面などを生成し業務を効率化する。

Microsoft Power Platform

 ローコード開発ツールの集合体。OpenAIのモデルが初めてMicrosoft製品に実装されたのが、「Microsoft Power Platform」を構成する「Power Apps」だという。これに「Power Visual Agents」と「AI Builder」が加わり、高度なチャットbotの制作が可能となった。Azure OpenAI Serviceを利用してGPTモデルをテンプレートとして組み込むことが可能。

 加えて、Microsoft CloudにおけるAI倫理、ガバナンスについても言及。データは高度なエンタープライズコンプライアンスとセキュリティ制御によって保護されており、顧客のデータはAIモデルのファインチューニングには利用されないという。

新しいBingについて

 最後に、GPT-4を組み込んだ検索支援エンジン「新しいBing」について紹介した。

新しいBingの特徴

  • より高品質な検索

 より安全で期待通りの結果を出すことができ、親しみやすい検索が可能。

  • 情報のまとめ

 Web上の検索結果を検証し、答えを見つけて結果をまとめることができる。

  • 新しいチャット体験

 複雑な検索をすることなくチャットでより良い提案を受けられる。

  • 想像力

 すでに存在するものを検索するだけでなく、生成された回答を利用して新しいコンテンツを制作することが可能になる。

 また、新しいBingはGPT-4モデルを検索用にカスタマイズしたものとBingの検索アルゴリズムを併用した独自の構成(Prometheus)をとっているため、最近の出来事に関する質問でも正確な回答を導き出せるという。

 新しいBingは「71%以上のユーザーが検索結果や回答に満足」「プレビュー登録者は100万人以上、うち日本の登録者は10万人以上」「日本からのチャット質問は200万以上」であるとし、マイクロソフト ディベロップメントの山岸真人氏(Bing開発統括部 プロダクト マネージャー)は「特に日本の利用者から非常に高く評価していただいている」(日本マイクロソフト)という。

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