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いまだに生きていた「Security Essentials」と「Edge」の“謎バージョン”の存在理由その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(235)

MicrosoftはPCのデスクトップOSとして現在、Windows 10とWindows 11をサポートしています。Windows 8.1以前のバージョンは2023年1月までに全て製品サポートが終了しました(一部の組み込み向けOSは除く)。サポート終了後もMicrosoft製ウイルス対策ソフトウェアとモダンブラウザは更新されていることを知っていましたか?

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「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

Windowsにまつわる都市伝説

Microsoft Security Essentials、まだダウンロード提供&更新継続中

 Microsoftは「Windows XP」「Windows Vista」「Windows 7」に対して無償のウイルス対策ソフトウェア「Microsoft Security Essentials」を提供していました。「Windows 8」からは「Windows Defender」(現在は「Microsoft Defender Antivirus」)を標準搭載しています。

 Windows XPの製品サポート終了時(2014年4月8日)には、Microsoft Security Essentialsがサポート終了について警告を表示するようになりました。そして、Microsoft Security EssentialsのインストーラーはWindows XPへの新規インストールをブロックするようになり、数カ月後にMicrosoft Security Essentialsのサービスが停止され、ウイルス対策機能を提供しなくなりました。Windows Vistaの製品サポート終了時(2017年4月11日)には、米国時間のその日をもって、猶予なくMicrosoft Security Essentialsのサービスが停止されました(画面1)。

画面1
画面1 Windows XPは製品サポート終了から数カ月後に、Windows Vistaは製品サポート終了と同時に、Microsoft Security Essentialsのサービスが停止され、機能しなくなった

 Windows 7は既に製品サポート終了から3年以上たちますが、サポート終了後もセキュリティ更新プログラムを受け取ることができる「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update《ESU》)」の最後の3年目が、2023年1月10日に終了したばかりです。

 ESUでカバーされるWindows 7デバイスがつい最近まで存在したこともあってか、Microsoft Security Essentialsのインストーラーのダウンロード提供は、本稿を執筆している現在でも継続されており、新規インストールも可能です(画面2)。そして、プラットフォームのエンジンや定義ファイル(セキュリティインテリジェンス)の更新も続いています(画面3)。

画面2
画面2 Microsoft Security Essentialsはまだダウンロード可能で、新規インストールもブロックされない
画面3
画面3 仮想マシン内のWindows 7とホストのWindows 11で、エンジンや定義ファイルが最新で同じであることに注目

 Microsoft Security Essentialsのエンジンや定義ファイルは、Windows 8以降のWindows Defender、Windows 10/11のMicrosoft Defender Antivirusと共通であり、ウイルス対策機能は同等といえます(ただし、現在のMicrosoft Defender Antivirusのセキュリティ機能を全て備えているわけではありません)。

 とはいえ、サポートが終了した古いバージョンのWindowsは、OSのセキュリティ更新プログラムが提供されなくなったため、多くの脆弱(ぜいじゃく)性が放置された状況なので、ウイルス対策ソフトウェアだけで安全に使い続けることができるとはいえません。

 では、Windows 7上のMicrosoft Security Essentialsの更新はいつまで続くのでしょうか。

 以下の公式ドキュメント(公開日:2020年7月29日、最終更新日:2021年10月28日)では、「2023年まで現在実行中のシステムに更新プログラムのリリースを継続する」と書いてあります(画面4)。

画面4
画面4 Microsoft Security Essentialsの更新は少なくとも2023年内は続くらしい。ダウンロード提供は公式には終わっていたことになっているが、実際にはダウンロードと新規インストールが可能な状態

 ただし、2020年1月14日の製品サポート終了後は、ダウンロードでは利用できなくなるとも書いてあります。現在もWindows 7にダウンロードしてインストールできることは、先ほど示したばかりです。ちなみに、2023年1月10日に製品サポートが終了した「Windows 8.1」のWindows Defenderは、Windows 8.1と同時にサポートされなくなりましたが、現在も更新が続いています。こちらについては、いつまで更新プログラムが提供されるのか、公開情報は見当たりませんでした。

Microsoft Edge バージョン109.0.1518.95が2023年3月23日にリリース

 以下の公式ブログでアナウンスされていた通り、Windows 7とWindows 8.1では、2023年1月にリリースされた「Microsoft Edge バージョン109」がサポートされる最後のバージョンとなり、2023年2月にリリースされた「Microsoft Edge バージョン110」のリリースをもってサポートが終了したはずでした。

 今回、Windows 7上のMicrosoft Security EssentialsやWindows 8.1のWindows Defenderをいろいろ試している中、ふと思い立ち、インストールされていたMicrosoft Edgeのバージョンを更新してみたところ、「Microsoft Edge バージョン109.0.1518.95」に更新されました。「msedge.exe」のプロパティを確認すると、タイムスタンプは「2023年3月23日」でした(画面5)。

画面5
画面5 2023年3月末に、当時リリース情報が公開されていなかったバージョン「109.0.1518.78」を受け取ったWindows 7。しばらくリリースノートに記載がなかったため、何の更新なのか分からなかった

 当時はリリースノートに記載がなかったのですが、1カ月ほどしてからようやく追加され、それがセキュリティ更新であることが判明しました。そして、2023年4月末にもセキュリティ更新を含むバージョン「109.0.1518.100」がリリースされました(画面6)。


画面6
画面6 2023年4月末には、セキュリティ修正を含むさらに新しいバージョン「109.0.1518.100」が提供された

 なぜ、サポートが終了したOS向けの最後のMicrosoft Edge バージョン109が更新され続けているのか疑問に思っていましたが、以下のサイトに答えが見つかりました。

Microsoft Edge バージョン109は、Windows Server 2012およびWindows 2012 R2でサポートされる最後のバージョンになります。Microsoft Edge バージョン109は、これらのプラットフォームで2023年10月10日まで、既知の悪用バグに関する重要なセキュリティ修正プログラムと修正プログラムを受け取ります。

 「Windows Server 2012/2012 R2」のサポートが終了する「2023年10月10日」までは、重要なセキュリティ更新と修正プログラムが提供されるそうです(注:Windows 7やWindows 8.1でのMicrosoft Edgeのサポートが終了したことには変わりません)。いずれにせよ、リリースノートはリリースしたタイミングでちゃんと出してもらいたいものです。ちなみに、同じエンジンである「Google Chrome」の方は、2023年2月初めにリリースされたバージョン「109.0.5414.121」を最後に、その後、更新バージョンは提供されていません。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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