Windowsの既知の問題、対応策がすぐに分かる――「Windowsリリース正常性」のMicrosoft 365管理センターへの組み込みと新しい電子メール通知機能:企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内(14)
Microsoftは2023年5月初めに、Microsoft 365サブスクリプション管理者向けの「Microsoft 365管理センター」の「正常性」メニューに、新たに「Windowsリリース正常性(Windows release health)」を組み込み、既知の問題を電子メールで通知する機能を追加しました。
「Windowsのリリースの正常性」サイトで公開されている既知の問題
MicrosoftはWindows向けに毎月リリースされる「セキュリティ更新プログラム(Bリリース)」や「更新プログラムのプレビュー(Cリリース)」のリリース情報と既知の問題、解決済みの問題などの情報を「Windowsのリリースの正常性(Windows release heath)」サイトで広く一般に公開しています(画面1)。
Windowsの更新管理を担うIT部門の管理者であれば、このサイトに頻繁にアクセスして、企業内に更新プログラムをロールアウトする前に更新プログラムの修正内容や既知の問題、既知の問題の回避策などを確認していることでしょう。
「Microsoft 365管理センター」にも「Windowsのリリースの正常性」が組み込まれる
Microsoftは2023年5月初めに、「Microsoft 365」サブスクリプション管理者向けの「Microsoft 365管理センター」の「正常性」メニューに、新たに「Windowsのリリースの正常性」を組み込み、既知の問題(状態の変更と新しい回避策、問題の解決)を電子メールで指定したメールアドレスに通知をサブスクライブする機能を利用できるようにしました。
- New feature: Sign up for Windows known issue email alerts[英語](Microsoft Tech Community
- Windows リリースの正常性をチェックする方法(Microsoft Learn)
Microsoft 365管理センターではこれまでも、「正常性」メニューの「メッセージセンター」で、Microsoft 365のサービスとMicrosoft 365アプリ(Officeアプリ)に関するアナウンスや既知の問題を確認でき、「ユーザーの設定(Preferences)」メニューから電子メール通知をサブスクライブすることができました(画面2)。
Microsoft 365管理センターに一覧表示される情報は、一般公開されている「Windowsのリリースの正常性」サイトと共通ですが、管理者は電子メール通知をサブスクライブすることで、特定バージョンのWindowsに関する既知の問題の発生や状態変更、回避策、解決策の提示を電子メールでいち早く知ることができます(画面3、画面4)。
画面3 「Microsoft 365管理センター」の「正常性」メニューに追加された「Windowsのリリースの正常性(Windows release heath)」(画面はYouTubeにアップされた「機能紹介ビデオ」《How to sign up for Windows known issue email alerts | Microsoft 365 admin center》から)
画面4 既知の問題を電子メールで通知するようにサブスクライブ(画面はYouTubeにアップされた「機能紹介ビデオ」《How to sign up for Windows known issue email alerts | Microsoft 365 admin center》から)
なお、「正常性」メニューの「Windowsのリリースの正常性」ページは、現時点では以下のサブスクリプションのいずれかを持つ組織に限定されます。つまり、「Windows 10」や「Windows 11」のEnterpriseライセンスを含まないプランにはこのページは表示されず、電子メール通知をサブスクライブすることもできません(前出の画面2は、対象外の「Microsoft 365 Developer」のもの)。
- Microsoft 365 Enterprise E3/A3/F3
- Microsoft 365 Enterprise E5/A5
- Windows 10 Enterprise E3/A3
- Windows 10 Enterprise E5/A5
- Windows 11 Enterprise E3/A3
- Windows 11 Enterprise E5/A5.
また、「正常性」メニューの「メッセージセンター」に一覧される情報は全て英語であることから、「正常性」メニューの「Windowsのリリースの正常性」に一覧、および電子メール通知される情報も英語ベースであると思われます。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Windows 11一般提供開始、企業での導入/展開時に注意すべきポイントは?
MicrosoftはWindowsデスクトップOSの最新バージョンである「Windows 11」を正式にリリースし、Windows 11対応ハードウェアを搭載したWindows 10デバイスに対して、無料アップグレードの段階的なロールアウトを開始しました。 - Windows 11登場! 11で変わること、思ったほど変わらないこと
新しいWindows OS「Windows 11」の正式出荷が2021年10月5日に開始された。Windows 10からの無償アップグレードが可能であるため、どのような新機能が実装されたのか気になる人も多いのではないだろうか。そこで、本稿ではWindows 11の新機能、削除された機能などを簡単にまとめてみた。 - 買って、試して分かったWindows 365(契約・セットアップ編)
Microsoftからクラウド上でWindows 10が動く「クラウドPC」の利用可能なサブスクリプションサービス「Windows 365」の提供が開始された。早速、サブスクリプションを契約し、クラウドPCの設定を行ってみた。契約からセットアップまでで見えてきた便利な点、不便な点などをまとめてみた。 - いよいよ完全終了へ。Internet Explorer(IE)サポート終了スケジュール
長らくWindows OSに標準装備されてきたInternet Explorer(IE)。その「寿命」は各種サポートの終了時期に左右される。Windows OSごとにIEのサポート終了時期を分かりやすく図示しつつ、見えてきた「終わり」について解説する。