ある才能あふれる若手の物語
私が仕事を手伝っていたあるスタートアップに、非常に賢く才能にあふれた若手エンジニアがいた。
彼は一を聞いて十を知るような人で、同年代の中で頭一つ抜けた才覚を持っていた。これまでも、ある程度の努力をすれば、同年代の中でトップクラスの成績を収められてきたのだろう。機械学習に対する理解も早く、複雑なアルゴリズムをすぐに理解できた。彼は秀才だった。
しかし、もう一つ壁を超えて一流になることがなかなかできなかった。
彼は一般的なコーディング能力を持っていたが、構造的なプログラム設計が少しだけ苦手だった。また、課題に対して適切なアルゴリズムを選ぶこともやや不得手だった。顧客の希望もうまく捉えられなかった。経験のある先輩たちの中で、十分に結果を残せないことで自信を失っていった。
そして、行動できなくなってしまっていたのである。
鈍さと才能のわな
「運鈍根」という言葉がある。立身出世の三条件として知られる言葉だ。「運」とは運が良いこと、「鈍」とは才走らず努力すること、「根」とは根気があることだ。鈍とはつまり、鈍感なことである。
彼には鈍が足りなかった。
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