取りあえず動く、でいいじゃないか:仕事が「つまんない」ままでいいの?(103)(2/3 ページ)
仕事をしていると、「どうすれば、この問題を解決できるのか?」が分からないことがあります。周囲に理解されないことも数知れません。それでも自分の中で何かが燃え始めたのなら、やるべきことは1つだけです。
「どうすればいいのか分からない」――何ともいえない虚無感の正体
私は現在、複数の仕事をしています。いわゆる「複業」という働き方です。その中の一つはフルリモートです。また、地方に住みつつ都市部の企業の仕事をしています。
自分がこのような働き方をしていることもあって、テレワークなどを活用して「会社は都市部で、住まいは地方」「住まいは都市部で、複業などで地方の企業と関わる」といった、「一人一人の事情に合わせた多様な働き方が実現できるといいな」と、思ってきました。
しかし、Aさんから製造現場のリアルな課題を聞き「どうすれば解決できると思いますか?」と問われたとき、私は明確な答えを返すことができず、「うーん、それは確かに難しいですよね……」というのが精いっぱいでした。むしろ、「多様な働き方を広めたい」といった自分の考えや発言が何とも薄っぺらく感じたのです。
「『多様な働き方』なんて、恵まれた環境にいるからいえるのかもしれないな」と。
もちろん、「取りあえず、理解してくれそうな人に相談してみては?」といった、当たり障りのないことを言うことはできるかもしれませんが、そんなアドバイスが役に立つとは到底思えません。
どうすれば、それぞれの事情に合わせた多様な働き方ができるようになるのだろう……?
「難しい」「それは無理」の一言で諦めたくない
一方で、「難しい」「それは無理」の一言で諦めたくないな、とも思いました。
少し話は変わりますが、私はいま、先ほどお話しした「地方の企業に、都市部をはじめとした地域外の人たちが、複業などの形で働く」という仕組みができないかと模索しています。
このような働き方が実現できると、人材不足に悩む地方企業の困りごとの一端が解決できるかもしれませんし、仕事を通じた都市部との関係性が生まれるかもしれません。また、このような形で働くことができたら、私たち労働者の、第2、第3のキャリアにつながるのではないか? とも思っています。
ただ、理想とは裏腹に、現実はめちゃくちゃ難しい。地方の企業に複業という働き方は浸透していませんし、マッチングする仕組みや、マネタイズの仕組みなど、どのように作ったらいいのかも分からない。周りの人からいろいろ言われることも、正直あります。「何をやりたいのかが分からない」と。
でも、人口減少が急激に進む中、いま、こういった仕組みを作っておかないと、この先、地方の企業が人材不足で困るのは目に見えています。そこで「取りあえず、いま、できることを」と思って、地域の人たちと話をしたり、情報発信をしたりしながら、地道に動いているのが現状です。
正直、まだ形になるところまではいっていません。うまくいく保証もありません。それでも、少しずつですが理解してくれる人が増え始め、手弁当で関わってくれる人も増えてきました。
「難しい」「それは無理」と、つい思ってしまうことが幾度となくあります。それでも、こういった「コト」を動かすためには、勇気を出して、真っ暗闇の中を一歩踏み出すしかないし、いまできることを地道にやり続けるしかないのだろう……そんな気がしています。
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