「Metaが公開した『LLaMa 2』はオープンソースではない」――OSIが声明:Metaに撤回、訂正を要請
オープンソース推進団体のOpen Source Initiative(OSI)は、「Metaが公開した『LLaMa 2』のライセンスはオープンソースではない」との声明を発表した。
オープンソース推進団体のOpen Source Initiative(OSI)は2023年7月20日(米国時間)、エグゼクティブディレクターを務めるステファノ・マフリ氏の名前で、「Metaが公開した『LLaMa 2』のライセンスはオープンソースではない」と題した声明を発表した。
OSIは声明で、「Metaは、LLaMa 2が『オープンソース』だという誤解を生んでしまった」と指摘。「オープンソースという用語を、異なる種類の複数のリソースから構成される大規模言語モデル(LLM)に適用することが妥当だとしても、Metaは、『オープンソース』と、『ある条件下で一部のユーザーが利用できるリソース』を混同している」と述べ、Metaに記述の誤りを訂正するよう求めていることを明らかにした。
OSIによると、オープンソースは、「Open Source Definition」(オープンソースの定義:OSD)で定義された、特定の特徴を持つライセンスに基づくソフトウェアを指す。OSDでは、ライセンスがオープンソースであるための要件が10項目挙げられており、このうち「5」「6」はそれぞれ、「個人やグループを差別しない」「適用領域に対する差別をしない」とされている。
「MetaのLLaMaモデルおよびコードのライセンスは、この基準を満たしていない」と、OSIは指摘している。具体的には、LLAMA 2 COMMUNITY LICENSE AGREEMENTの第2項が、一部のユーザーに対して商用利用を制限しており、利用規定(Llama 2 Acceptable Use Policy)が、特定の目的でのモデルおよびソフトウェアの利用を制限しているという。
オープンソースの重要性
OSIは、「オープンソースライセンスは、開発者と利用者が、技術をどこでどのように利用するかを自ら決定できることを保証している」と述べている。LLaMa 2のライセンスにおける一部の商用利用の制限は、このOSDの約束に反しているため「オープンソース」のカテゴリーから外れていると、OSIは指摘している。
OSIは、OSDが使用分野の制限を禁止しているのは、良くも悪くも、将来何が起こるかは事前に分からないためであり、そのおかげで、Linuxカーネルは飛行機やロケット、さらには医療機器にも普及したとしている。
ところが、LLaMa 2の利用規定は、「規制/管理下にある物質や、重要インフラなど、社会に大きな恩恵をもたらすかもしれない幾つかの分野での使用を禁止している」と、OSIは問題視している。
AIの文脈における“オープン”
OSIは、LLaMa 2のLLMライセンスは、明らかに「オープンソース」ライセンスではないと断言し、「Metaは、LLMのある側面を、一部の人が利用できるようにしているが、誰もがどのような目的でも利用できるわけではない」との見解を示している。
OSIは声明の最後に、「70年代にソフトウェアが人間の知性による新たな創造物であったように、AI(人工知能)システムは、人間の新たな創造物だ。われわれは、AIの文脈における『オープン』の一般的な定義を作るために、一連のイベントを開催しており、アイデアの提出を歓迎している」と述べている。
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