検索
ニュース

世界のソブリンクラウド支出、2027年には2500億ドル以上に「デジタル主権」重視とともに利用拡大へ

IDCは、データやインフラストラクチャを管理し、主権を確保する「ソブリンクラウド」のニーズの高まりによって、その支出額が2027年までに2585億ドルに達するという予測を発表した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 IDCは2023年12月14日(英国時間)、世界全体のソブリンクラウド(Sovereign Cloud)ソリューションに対する支出が2027年までに2585億ドルに達するという予測を発表した。

 IDCはソブリンクラウドについて、国や組織、企業がデータとインフラストラクチャを独自に管理し、その主権を確保するために構築されたクラウドコンピューティングと定義している。発表に先立って、IDCは2023年11月に「Worldwide Sovereign Cloud Market Forecast, 2022-2027(IDC #US49695922)」で世界のソブリンクラウド市場予測を明らかにしており、2022年〜2027年の同市場における年平均成長率(CAGR)は26.6%としている。

 調査によると、特定の規制に適合する必要がある業界がソブリンクラウドを求めていたが、規制対象分野だけでなく、あらゆる業界がデジタル主権を重視していることが浮き彫りになっているという。IDCは需要の要因として、クラウドの利用が拡大していること、サイバーセキュリティの向上が求められていることを挙げている。

 IDCは、デジタル主権(Digital Sovereignty)を包括的な広範な概念として位置付けており、データ主権(Data Sovereignty)やソブリンクラウドはデジタル主権に包括される概念だと見なしている。

 IDCの世界デジタル主権担当主席アナリストでありヨーロッパクラウドのアソシエイトリサーチディレクターであるラヒエル・ナシール氏は、デジタル主権について次のように述べている。

 「デジタル主権とは、本質的に国、組織、個人がデジタル上で自己決定する能力を指している。とりわけデータの所有者が、データがどのように、どこで、そしてサービスプロバイダーによってどのように管理、保存、処理されるかについて完全な制御権を持つ。これには、データセンターやネットワークなど、データに使用される全てのインフラストラクチャと、そのデータやインフラストラクチャにアクセスできるサポートおよび管理スタッフが含まれる」

世界のデジタル主権支出(提供:IDC)
世界のデジタル主権支出(提供:IDC)

 IDCのソブリンクラウド支出予測は、世界のパブリッククラウド支出総額に占める次の3つの主要セグメントで構成されている。

  • データ主権(Data Sovereignty):データ主権の項目には、データの「収集」「分類」「処理」「保存」「保護」に関連する包括的なソリューションが含まれる
  • 技術主権(Technical Sovereignty):技術主権の項目は、主権環境にある全てのデジタルインフラストラクチャを指す
  • 運用主権(Operational Sovereignty):運用主権の項目には、プロビジョニングやパフォーマンス管理からインフラストラクチャへの物理的およびデジタルアクセスの監視に至るまで、クラウド運用の制御における透明性を確保するソリューションを含んでいる

 ナシール氏は「同市場で見込まれる支出の多くは、データ主権ソリューションに対するものになるだろう。データ主権ソリューションがソブリンクラウドの出発点となるためだ。クラウドの利用がますます拡大するにつれ、組織は技術面と運用面の両方を含む、主権を確保するためのより幅広い製品を求めるようになるだろう。その結果、ソブリンクラウドの分野では今後数年間、比較的安定した成長が見込まれる」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

[an error occurred while processing this directive]
ページトップに戻る