入試の点数は今でも覚えている だって人生で一番大事なことでしょう?:Go AbekawaのGo Global!〜日立造船の張さんfrom中国(前)(2/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回は日立造船で基幹システムの保守などを担当している張 冬堯(チョウ・トウギョウ)さんにお話を伺う。中国の小さな町で生まれ、大好きな『スラムダンク』とともにバスケやアニメに夢中になっていた少年が、エンジニアリングの道に進んだ理由とは。
高校時代、勉強以外の思い出はあまりない
阿部川 小学校は1クラス何人くらいなのですか。
張さん 1クラスが50人ぐらいです。とても小さい小学校だったので、1学年に1クラスで、全校生徒は多分300人ぐらいだったと思います。中学校は小学校よりは大きくて、1学年20クラスぐらい。1年生は1000人、全校生徒は3000人ぐらいいました。
阿部川 それは多いですね。いきなり大人数で学ぶので中学生になったらびっくりしたのではないでしょうか。PCを使った授業などもあったのでしょうか。
張さん コンピュータの授業は小学校のときにありました。すごく簡単な内容で大体タイピングの練習をしていました。自宅にPCが来たのも小学生のときですね。1台だけだったので、兄と共用でしたけれども。
阿部川 小学校から触っていたのですね。小学校、中学校と来ましたので、高校のお話も教えてもらえますか。
張さん うーん、高校時代は大学受験のために必死に勉強していましたので、勉強以外の思い出はあまりありませんね。1週間のうち月曜日から土曜日は全部学校に行って、日曜日だけ休み。ほとんどの時間を勉強に費やしていました。
阿部川 それだけ一生懸命勉強しなければならないのですね。大学入試はどういう受験制度なのでしょうか。何教科も受けなければならないとか?
張さん 中国の大学入試は、高校3年生が全国で同じ入学試験を受けます。その試験の成績で入れる大学のラインが決まるのです。有名な大学なら600点以上、他の大学は500点以上といった感じですね。1点でも多ければより良い大学に申請できますので、みんな必死に勉強します。私は600点だったので、上位30校の中から3つを選んで申請しました。
阿部川 やっぱり数学の点数が一番良かったのですか。
張さん 実は入試のときの数学の点数はそんなに良くなくて、150点の試験で126点でした。
阿部川 点数を覚えているんですね。
張さん はい、人生で一番大事なことだと思いますので。
編集鈴木 先ほど「ひたすら勉強していて、勉強以外何もしなかった」とおっしゃっていましたが、同じような話を以前インタビューした中国の方もしていたことを思い出しました。でも、勉強ってどちらかといえばつらいじゃないですか。その場合、勉強しないっていう選択肢はあるんでしょうか。もし勉強しなかった場合は、どうなっちゃうんですか。
張さん つまり進学しない場合のことですね。私の故郷が小さい町だからかもしれませんが、中学卒業後に高校に進学しない友達はたくさんいました。そういう人たちは実家の手伝いをしたり、何らかの技術を勉強して――例えば車の修理を勉強して、車の修理屋さんになったりします。
編集鈴木 なるほど。進学せずに働く道はあるけれど良い大学に入りたいなら勉強するしかない、と。ちなみに、日本には「浪人」というのがあって、高校を卒業したときに希望の大学に入れなかったら、1年さらに勉強して大学受験し直す人がいるんですけど、中国にもそういうやり方はありますか。
張さん あります。違う点といえば、日本の浪人は自分の家で勉強しますが、中国では高校に行って勉強する人もいます。もちろん家で勉強しても大丈夫ですけれど、学校に行って高校3年生と一緒に勉強してもオッケーです。
中国ではどのくらい割合の人が高校で勉強する選択をするのか分かりませんが、日本で同じことをしたら、“現役の人”にやゆされそうな気がします……。中国ではきっと、周りの人も応援こそすれ、ばかにするようなことはないのでしょう。ただ逆に言えば、人生を左右してしまうかもしれない受験ということですね。いやはや、大変です。
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