入試の点数は今でも覚えている だって人生で一番大事なことでしょう?:Go AbekawaのGo Global!〜日立造船の張さんfrom中国(前)(3/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回は日立造船で基幹システムの保守などを担当している張 冬堯(チョウ・トウギョウ)さんにお話を伺う。中国の小さな町で生まれ、大好きな『スラムダンク』とともにバスケやアニメに夢中になっていた少年が、エンジニアリングの道に進んだ理由とは。
「日本でのアルバイトで初めてギョーザを作ったんです」
阿部川 大学は、大連理工大学に入学します。この時点ですでにエンジニアになりたいと思っていたのですか。
張さん いえ、そうではありません。大連理工大学には他にも学科が幾つかあります。当時は多分6つだったかな。いろいろ応募して、最終的にエンジニアリングの学科を受けたのです。
阿部川 最初からエンジニアを目指していたわけではないけれど、勉強の中心はエンジニアリングだったのですね。大学2年生のときに徳島大学に留学しますが、なぜ徳島大学だったんですか。
張さん 大連理工大学と徳島大学の間で交流するプログラムがあるんです。大学に入学するときに先輩からそのプログラムのことを聞いていたので、2年生のときに申請しました。このプログラムは今も続いていて、徳島大学以外の大学とも実施しているそうです。
阿部川 期間は1週間と短めですが、このプログラムには多くの学生が参加するのですか?
張さん そうですね。私のときは大連理工大学から4人が参加していました。中国の他の大学や他の国の大学生も来ていたので、全部で20〜30人ぐらいだったと記憶しています。
阿部川 このときが、張さんにとって初めての日本だったのですよね。日本語は問題なかったですか?
張さん いいえ。日本語は大学に入ってから勉強したので、そのときはそんなに話せなかったですね。留学生同士は英語で会話できたのでよかったですけれども。
日本の第一印象は「きれい」。町がすごくきれいだと思ったことをよく覚えています。後は大学での生活の違いが印象に残っています。例えば、中国の大学生は基本的にみんな同じ寮に住んでいます。でも、日本の学生は(もちろん寮に入る人もいるけれど)大体が自分で家を探しますよね。
阿部川 なるほど。学校以外ではどこかに行きましたか。
張さん プログラムは1週間でしたが、その後の1週間で大阪と京都に行きました。高いビルがたくさんあったのが印象的でした。とても楽しかったのですが、中国に比べて食べ物や電車などの物価が高くて……。
阿部川 ああ、それはあるかもしれませんね……。1週間学んで1週間観光し、帰国します。その後、日本語を勉強するためのプログラムを作ったのですよね。これはどういうものですか。
張さん 私たちが一から開発したというわけではありません。日本語研究室のプロジェクトチームに参加して、もともとあったプログラムに機能を追加したのです。
そのプログラムは、学生の作文などの文章をデータベースにしていて、手動で入力した単語などを基に文章を出力するといったものだったのですが、文章だけだとつまらないと思ったので、日本のドラマのせりふなどもデータベースに追加し、検索できるようにしました。
阿部川 それは面白そうですね。学生時代はアルバイトもしましたか。
張さん はい。来日当初は日本語が今よりもできなかったので、アルバイト先で日本語を勉強できました。それから、料理もできるようになりました。飲食店で私はギョーザとラーメンの担当で、そのとき初めてギョーザを作ったんです(ギョーザを作る手ぶり)。
阿部川 今も作りますか。
張さん 作りますよ。時間があれば、皮から作ります(皮を伸ばす手ぶり)。飲食店のギョーザは“焼き”が多かったのですが、家で作るのは、専ら“水”と“蒸”です。
阿部川 いいですね(笑)。
張さんは身ぶり手ぶりがにぎやかで、見ているとほっこりした気持ちになりました。
最初からエンジニアを目指していたわけではないと言いつつ、激しい受験競争を勝ち抜き、エンジニアリングの知識を吸収する張さん。きっとその原動力は「学びへの興味」だったに違いない。後半は日本の大学院に進んだ理由と、現在の目標について。
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