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エッジコンピューティングの勝負どころは「クラウドインフラの次のステージ」 PwCコンサルティング「形勢は通信事業者に傾く」

PwCコンサルティングはエッジコンピューティングに関するレポートを発表した。エッジコンピューティングが徐々に普及しつつあるため、「通信事業者はクラウドインフラ市場の次のステージで勝負すべきだ」としている。

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 PwCコンサルティングは2024年3月7日、エッジコンピューティングに関するレポート「クラウドのエッジを見据えて」を発表した。

エッジコンピューティングの鍵は、通信業者が握る

 エッジコンピューティングの定義は広く、その実装方式も多岐にわたる。初期のユースケースでは、B2B(Business to Business)セグメントのリアルタイム映像分析や高性能クラウドゲーミングなどに採用されていた。引き込まれるようなビジュアルシーンやリアルタイムでのインサイトを提供するためには、ネットワーク経由でハイパースケールデータセンター(DC)に伝送したのでは遅いからだ。

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エッジとクラウドの関係図(提供:PwCコンサルティング

 現在は「クラウドかエッジか」ではなく、「エッジコンピューティングアーキテクチャを用いて、エッジコンピューティングでもクラウドサービスの強みである弾力性と柔軟性を享受しよう」という考え方になっているとPwCコンサルティングは述べている。

 PwCコンサルティングは「エッジコンピューティングは徐々に普及しつつある」とみており、市場調査会社も、当初の成長は鈍いものの、エッジクラウドサービスのCAGR(年平均成長率)を高く見積もっている。例えばAllied Market Researchは、2020〜2025年のCAGRを33%と予測している。

 PwCコンサルティングによると「エッジコンピューティングは、クラウドDC市場において通信事業者が利益を得る機会をもたらす」という。

 「なぜなら通信事業者は、ネットワークのエッジに高度に分散されたコンピューティングインフラを構築するために必要なケイパビリティと資産を既に持っているからだ。自社の無線基地局や交換局にエッジ機器を導入すれば、その機器を自社の技術力や管理能力を生かして効率的に運用、保守できる」とPwCコンサルティングは分析している。

 また、同社は、日本の通信事業者の多くが採用している、ハイパースケーラーの技術進化をエッジに取り込んでいく「クラウドアウト」戦略について「間違いではないが、それだけではせっかくの付加価値を生かせない」と指摘。

 「日本の通信事業者は、日本のIT市場での自らの優位なポジションを生かして、より積極的で主体的な戦略によって、エッジのユースケースと市場を作っていく役割を狙うべきだ。ビジネス成果の創出を目指すエコシステムのサービス群をひとまとめにしてエッジに置き、その後もサービスや機能、取り組みを継続的に拡張、強化していく。そうした活動の中でマルチクラウド構成が有効なユースケースを編み出してベンダー中立のレファレンスアーキテクチャを提唱できれば理想的だ」(PwCコンサルティング)

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