「セキュリティ業務におけるAI活用の最適解」は何か パロアルトネットワークスが調査結果を発表:調査対象の95%がセキュリティの課題を抱えている
パロアルトネットワークスは、「日本企業のサイバーセキュリティにおけるAI・自動化活用」に関する調査の結果を発表した。多くの組織がセキュリティの課題に悩んでおり、約9割の企業が「変革の必要性」を感じていた。
パロアルトネットワークスは2024年3月21日、「日本企業のサイバーセキュリティにおけるAI(人工知能)・自動化活用」に関する調査結果を発表した。この調査は民間企業でサイバーセキュリティの管轄、運用、監視業務に関わる管理職や現場担当者を対象に実施し、392人から有効回答を得た。
「侵入検知」だけではなく「KPI測定」にAIを使うケースも
セキュリティ監視、運用業務の体制について聞くと「社内と外部委託」を組み合わせている企業が最も多く、61%。外部委託のみが22%、社内のみが15%だった。ほとんど(95%)の組織がセキュリティ業務の課題を抱えており、セキュリティ製品からの大量のアラートやインシデント対応の長期化などに悩んでいることが分かった。そうした中、87%が「内製化の変革」、89%が「業務変革」の必要性を感じていた。
セキュリティ業務におけるAIの活用度を見ると、活用している企業の割合は23%。用途としては「内部不正の検出」(65%)、「サイバー攻撃の検出」(64%)、「未知の脅威の検出」(60%)が上位を占めた。また、セキュリティ運用、監視の組織を社内に整備している企業の53%がインシデント対応に自動化を活用していた。自動化の目的では「手作業によるミスをなくすため」(59%)、「対応のばらつきをなくすため」(46%)などが挙がった。
セキュリティ業務のKPIとして、MTTD(インシデントの検出に要する時間)やMTTR(インシデントの対応に要する時間)を使う企業はある。こうしたKPIの測定でAIを活用する例もあるようだ。セキュリティ業務のKPIとしてMTTDとMTTRの両方を採用している企業の半数が、セキュリティデータの関連付けや相関分析にAIを活用していた。
MTTDとMTTRの両方をKPIに設定している企業の場合、エンドポイントやネットワークを含めた7種類のデータを活用している一方、そうでない(MTTDとMTTRをKPIにしていない)企業の場合は3種類と限定的で、パロアルトネットワークスは「インシデントの検出力にも大きな開きがある」と分析している。
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