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校長先生に「マジで行ってほしい」って言われて日本に留学したGo AbekawaのGo Global!〜ダニーさん from イギリス(前)(1/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はアクトビのフロントエンドエンジニア、Daniel Parsons(ダニエル・パーソンズ)さんにお話を伺う。両親の期待もあり、医者を目指して勉強を頑張ったが、そこで得たのは「本当にやりたいことは何だろう」という問いだった。

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 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回はアクトビでフロントエンドエンジニアとして働くDaniel Parsons(ダニエル・パーソンズ)さんにお話を伺った。大好きだったけどミュージシャンになるほどではない。それでも音楽大学を選んだのはなぜか。

 聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

イギリスで遊ぶといったらサッカーか音楽

阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) ご出身はイギリスですね。

Daniel Parsons(ダニエル・パーソンズ 以下、ダニーさん) はい。1994年に、シュロップシャー州シュルーズベリーで生まれました。シュルーズベリーのチャールズタウンは進化論で有名なチャールズ・ダーウィンが生まれたところなんですよ。

阿部川 ダーウィンが先輩だなんてかっこいいですね。シュルーズベリーはどんなところですか。

ダニーさん 本当に何もない田舎ですよ(笑)。イギリスの田舎は、どこに行っても歴史的な古い建物が残っていて、ダーウィンが通っていた小学校も残っています(現在は、シュールズベリーの図書館として利用)。地理的にはウェールズに近くて、広くて、羊がたくさんいます。そこで19歳ぐらいまで過ごしました。

阿部川 子どものころはどんなふうに過ごしていたのですか。羊と戯れる、とか?

ダニーさん フットボール(サッカー)をしていました。イギリスではサッカーが人気で、みんなやっています。特に田舎は、本当にやることがないので、サッカーぐらいしかすることがない。でも僕は全然サッカーができなくて、その代わりギターを練習していました。イギリスでは、サッカーやるか音楽やるかの2択なので。バンドの友達と一緒に音楽を毎日作っていました。好きなバンドは『QUEEN』です。母がQUEENを好きだったので、小さいころからライブを見て「かっこいいなー」と思っていました。

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ギターを抱える幼少期のダニーさん

阿部川 いいですね。では、QUEENの曲をバンドで一生懸命演奏していたのですね。

ダニーさん そうです。小学校、中学校のころはずっとそんな感じでした。スポーツができなかったのと、そのころから科学とかよりも音楽などの芸術に興味を持っていました。

阿部川 学校の勉強で、音楽やアート以外に力を入れたものはありますか。

ダニーさん 両親が僕に「医者になってほしい」と期待していたので、高校のころは化学や数学も頑張っていましたね。成績はそこまで悪くもなかったのですけれど、特に好きというわけでもなく……。勉強は頑張りましたけど結局、医者にはなりませんでした。

阿部川 ダニーさん自身も、医者になりたいとは思っていたのですよね。

ダニーさん そうですね、試験も受けましたし。ただ試験に落ちて、そのタイミングで「本当に医者をやりたいとは思ってないな」と気付きました。本当にやりたかったら、1年頑張って勉強してもう一度受験もできましたが、実はそこまで興味ないんじゃないか? と思いました。そのことを両親に話したら、「好きにしていいよ」と言ってくれたので別の道を考えました。

阿部川 難しいですよね。ご両親としてはダニーさんにお医者さまになってほしいけれども、ダニーさんがやりたくないことまでやらせようとは思わないはずです。

ダニーさん 数学と科学が割とできたので期待もあったのでしょう。今思うと試験に落ちたのも運命だったのかな、と考えることもあります。もし落ちてなかったら自分の気持ちを振り返ることもなかったので。

高校卒業まで「自分がやりたいこと」を考えたことがなかった

阿部川 その後は何をしていたのですか。

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阿部川 “Go”久広

ダニーさん イギリスも日本と同じように18歳で大学に進学するのが一般的です。僕もその流れに沿って大学に進むのか、やっぱり試験を受け直すのか、それとも違うことをするかなどと悩みながらアルバイトをして1年ほど過ごしました。最初はスーパーのレジ打ちをしていましたがあまり楽しくなかったので、友達が働いているコーヒーショップを紹介してもらってそこで働きました。僕、コーヒー中毒というかカフェイン中毒なのです(笑)。

阿部川 コーヒーが大好きで、コーヒーの仕事をしながら、どうしようか考えていたのですね。そういう時間があってよかったですよね。

ダニーさん 本当にそうです。日本も似たような感じだと思いますが、小学校、中学校、高校と進むべき道は全部決まっていて自分の時間はあんまりないじゃないですか。僕は高校を卒業して「自分がやりたいことをしっかり考えたことがなかった」と初めて気付きました。

 今は違いますが、僕の中学校は11歳から16歳まででした。14、15歳ぐらいの時に高校に入るための試験があります。そして高校によって入れる大学が限られます。だから、簡単に言うと、14歳の時から、将来何をしたいかを決めないといけません。

阿部川 14歳で将来のことなんて分かるわけがないですよね。

ダニーさん 分かるわけがないんです。「このシステム、ちょっとおかしい」と思っていました。でも、みんなは当たり前にその道筋通り進む。そして自分が18歳になって「これは改めて考えるべきだ」と思い直しました。


編集中村
編集 中村

本当にそうですよね。インターネットなどで調べれば、仕事には無数の選択肢があることが分かるわけで、その中から一つを選ぶのは大変なことだと思います。14歳で思い出しましたが、結構前に『13歳のハローワーク』という書籍が話題になりましたね。「プラントハンター」など普通は思い付かない職業が載っていて楽しく見ていました。そう思うと14歳でも早くはないのか……?


阿部川 なるほど。確かに「14歳で分かるわけがない」という意見もありますが、「分からないなら、何でもやってみたらいい」っていう意見もありますね。

ダニーさん はい。そして「やるなら自分で決めた方がいい」。もし失敗しても、自分がやりたいことだったらその失敗がどうにかいいことに、力になるのではないかなって思うのです。

阿部川 おっしゃる通りです。人から言われて失敗したら、お前がそう言ったからだよってエクスキューズ(言い訳)しちゃいますよね。若い時の失敗なんか、はっきり言ってあんまり失敗でも何でもないと思います。上手に失敗するべきですよね。

ダニーさん 日本もそうだと思うのですけど、教育システムって「失敗したら駄目」と思ってしまう仕組みなので、失敗を恐れてしまいますよね。

阿部川 それで「俺、何がやりたいのかな」と考えたら、ウェールズ音楽大学だったという感じですか。

ダニーさん そんな感じでしょうか。

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