検索
Special

30周年を迎えたNECの「Express5800」 PCサーバ史に見る、企業ITのこれまでとこれからオフコン全盛期からDX、AI時代まで

NECのPCサーバ「Express5800」が30周年を迎えた。オフコン全盛期からDX時代まで企業を支えてきたExpress5800は、エンタープライズITの発展の歴史そのものだ。Express5800に携わり、日本企業のニーズに応え続けてきたキーパーソンたちに、今後のトレンドを聞いた。

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena
PR

 オフィスコンピュータ(オフコン)全盛期の1994年冬、あるPCサーバが日本市場にさっそうと登場した。NECが提供するエンタープライズ向けPCサーバ製品「Express5800シリーズ」だ。2024年に30周年を迎えた同シリーズは、これまで数多くの企業の情報システムを支えてきた。

 Express5800シリーズが歩んできた30年間は、そのままエンタープライズITの発展の歴史と重なる。現在に目を向ければクラウドやAI(人工知能)など、DX(デジタルトランスフォーメーション)や企業成長に欠かせない技術を取り込んで進化する姿がそこにある。Express5800シリーズの革新を引っ張ってきたキーパーソンたちを取材した。

30周年のExpress5800シリーズ 長年の支持、その理由を解き明かす

photo
NECの森 勝俊氏(デジタルプラットフォームビジネスユニット エグゼクティブマネージャー)

 「1990年代前半はオフコンが全盛期を迎えていましたが、同時にNovellの『NetWare』やMicrosoftの『Windows NT』を搭載したPCサーバがワークグループサーバやファイルサーバなどの用途で普及し始めていました。その後オープン化の波が本格的に訪れ、オフコンの将来性が危ぶまれるようになります。オフコン事業に代わる新たなビジネスの柱としてPCサーバ事業に本格的に乗り出すことになりました」――こう語るのは、Express5800の製品開発に携わるNECの森 勝俊氏だ。

 1994年12月に発売したMIPS系プロセッサ搭載の「Express5800/200シリーズ」を皮切りに、Express5800シリーズの歴史が始まった。翌年1月にはx86系プロセッサ搭載の「Express5800/100シリーズ」が登場。エンタープライズITのオープン化の流れに乗って、数多くの企業で導入されていくことになる。

 NECはユーザーや販売パートナーの声に耳を傾けながら、日本企業のニーズに寄り添った製品バリエーションの幅を広げてきた。例えば2001年に登場した「ftサーバ」は、工場などに設置することを念頭に置き、ハードウェアを二重化して可用性を高めることで長期間の無停止運用を可能にしたモデルだ。多くのモノづくり企業の現場で重宝されたという。

 その後も高い集積度を備えた「ブレードサーバ」、狭いオフィス内での設置など日本特有の使用方法に対応すべく筐体(きょうたい)を小型化した「スリムサーバ」、高い静音性を実現した「水冷スリムサーバ」などを発表。顧客のビジネスが成長するにつれて多様化するPCサーバのニーズや用途に応じてNECはさまざまな製品バリエーションを生み出してきた。Express5800は企業の要望や世の中のトレンドに応える形で日本独自の進化を遂げていったと森氏は胸を張る。

photo
左からスリムサーバ「Express5800/T110m-S」、ラックサーバ「Express5800/R120j-2M」(提供:NEC)

 「省エネが注目を集めた時代には、高い省電力性能を備えた『ECO CENTER』というモデルを世に送り出し、仮想化技術が普及して以降はハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)に対応した『NEC Hyper Converged System』を提供してきました。常にお客さまや販売パートナーさまの声に耳を傾け、お客さまの課題やニーズに応えるための製品を開発、提供する姿勢を貫いていると自負しています」(森氏)

photo
NECの本多 信氏(デジタルプラットフォームビジネスユニット プロフェッショナル)

 Express5800の開発や提供だけではなく、それらをユーザーがうまく使いこなしてビジネスの価値を生むための支援やサポートにも力を入れてきた。その姿勢はサポート窓口に見て取れる。

 「お客さまや販売パートナーさまからの製品問い合わせに答えるだけではなく、より価値の高い情報を提供し、同時にお客さまの声に基づくマーケティング機能も備えた『ファーストコンタクトセンター』(FCC)を2001年に設立しました。FCCを中心に販売パートナーの販売担当者さまやSE(システムエンジニア)に対して情報提供や技術教育などの支援を提供し、販売パートナーさまとのエコシステムを構築してきたことで多くのお客さまにExpress5800を安心してご利用いただけるようになりました」――Express5800の誕生時からPCサーバ事業に関わってきたNECの本多 信氏はそう語る。

 安心という観点では、メイド・イン・ジャパンを貫いて部品選定や生産時のテストなどにこだわっている点も顧客から評価されていると本多氏は強調する。障害が起きても全国のサポート網を駆使して、最短2時間で駆け付けて対応する。生産と保守どちらにも注力しているのだ。

ハイブリッドクラウドの効率的な運用にも大きく貢献

photo
NECの竹ノ内 穣氏(デジタルプラットフォームビジネスユニット ディレクター)

 Express5800は日本の企業ユーザーのニーズに寄り添って進化を遂げてきた。近年はハイブリッドクラウドに関するニーズが特に高まっているという。

 「かつては『クラウドファースト』を合言葉に何でもクラウドに置く風潮もありましたが、今は重要データをあえてオンプレミスに置きたい、スループットを高めるために処理をオンプレミスとクラウドに分散させたいというニーズも増えてきました。このように、オンプレミスとクラウドを適材適所で使い分けるハイブリッドクラウドのインフラをいかに効率的に運用するかが重要なテーマになってきました」――NECの竹ノ内 穣氏はこう説明する。

 ハイブリッドクラウドに加えて、AIやIoT(モノのインターネット)のビジネス活用が急速に進んだことで大量のデータを効率よく管理、分析するためのIT基盤のニーズも急速に高まっている。竹ノ内氏は、Express5800にさまざまな周辺製品やサービスを組み合わせることで、こうしたニーズに応えていると説明する。

 「当社が運営する印西データセンターでは、お客さまのサーバをハウジングサービスでお預かりするサービスを提供しています。同じデータセンター内で当社のクラウドサービスと連携するハイブリッドクラウド環境を構築可能です。印西データセンターは『Amazon Web Services』や『Microsoft Azure』といったパブリッククラウドサービスのハブにもなっているので、これらとオンプレミスを組み合わせたハイブリッドクラウドにも容易に対応できます」(竹ノ内氏)

従量課金モデルも用意 “クラウドライク”な使い方が可能に

photo
NECの桂 大喜氏(デジタルプラットフォームビジネスユニット 主任)

 Express5800は従来のような買い切り型の販売だけではなく、ユーザーが使った分の利用料金を毎月払う従量課金モデルでの利用も可能になっている。NECの桂 大喜氏は、従量課金モデルでExpress5800を利用することで柔軟なハイブリッドクラウド運用が可能になると説明する。

 「買い切り型とは異なり、お客さまが必要な分だけお支払いいただけばいいので、オンプレミスサーバの初期導入のハードルがぐっと低くなります。予備のリソースをお客さまのサイトに用意するので、リソースの拡張にもすぐに対応できます。オンプレミスのサーバリソースを、クラウドのように素早く柔軟に利用できるのが従量課金モデルの最大のメリットです」(桂氏)

 “クラウドライク”な使い方を運用面でも実現できるようにマネージド型のサービスも提供している。運用を効率化できる他、運用や保守に割いていたIT人材のリソースをDX領域にシフトすることで、ビジネスの成長につながる。

photo
マネージドプラットフォームサービスの概要(提供:NEC)

GPU搭載モデルも登場 AIやIoTの処理ニーズに対応

 Express5800のユーザーから多く寄せられる声に「シンクライアントの使い勝手を高めたい」というものがあると竹ノ内氏は言う。シンクライアントでは、クライアント端末にデータを保持せず、サーバで稼働するクライアント環境の画面データのみをクライアント端末に転送して表示させる。この方式は情報漏えい対策になり、確かにセキュリティ上のメリットは大きい。ただし、Web会議ツールと併用する際には、オーバーヘッドの大きさから音声や映像の品質が極端に低下してしまうことがある。

 こうした課題を解決するために、NECはNVIDIAとの協力の下でGPUを搭載したシンクライアント向けの製品も提供している。「Express5800が搭載するGPUのリソースを、個々の仮想デスクトップ環境にvGPU(仮想GPU)として配分することで、シンクライアントでも快適なWeb会議が可能になっています」(竹ノ内氏)

photo
NECの長坂頼人氏(デジタルプラットフォームビジネスユニット プロフェッショナル)

 GPUは画像処理だけではなく、AI用途でも広く使われるようになっている。Express5800でも生成AIをはじめとするAIのニーズに応えるモデルを用意。加えて、AIを有効活用するためのシステムアーキテクチャの一つとして「5層モデル」を提唱しているとNECの長坂頼人氏は解説する。

 かつてはIoTデバイスで収集したデータをクラウドに送信し、そこでAIを使って処理するアーキテクチャが一般的だった。しかしこの方式ではIoTデバイスとクラウドの間で膨大な量のデータをやりとりする必要があり、コストやパフォーマンスの面で課題が生じる。「そこでIoTデバイスとクラウドの間にエッジコンピュータを配置し、ここでデータをいったん集約するとともに処理の一部を実行することで、システム全体のパフォーマンスや効率性を高められるという考えで提唱したのが5層モデルです」(長坂氏)

photo
エッジコンピューティングのイメージ(提供:NEC)

 Express5800は、5層モデルの中でエッジコンピュータの役割と、クラウドでのAI処理を実行するインフラの一端を担うことができる。「Express5800に加えて、現場に設置するIoTデバイスや、IoTデバイスとエッジコンピュータを結ぶ近接通信技術、エッジコンピュータとクラウドを結ぶ広域通信など、インフラを含めて5層モデルの全レイヤーにわたってソリューションを提供できます」。長坂氏は総合ベンダーとしてのNECのアドバンテージをこう強調する。

 「Express5800が、オフコンからIT、DXまで企業の変化を支えてこられた背景には、“モノ売り”ではなくお客さまの困りごとを解決する“コト売り”を重視してきた当社の姿勢があります。DXの土台である課題解決と、その先にある成長にNECが総力を挙げて貢献します」(本多氏)

販売パートナーと二人三脚で顧客のニーズに応える

 ハードウェアから通信にまで及ぶNECの総合力を引き上げているのが、30年間で築き上げてきた販売パートナーとの強力なリレーションシップだ。これを生かして、顧客の多様な要件に応えることができる点がNEC最大の強みだと森氏は語る。「販売パートナーさまはそれぞれが得意な領域を持っており、それらをNECの製品やソリューションと組み合わせることでお客さまの多様なニーズにお応えしてきました」(森氏)

 Express5800は2024年に30周年を迎え、NECのメインフレーム製品「ACOS」は2024年に50周年を迎える。さらに工場向けのファクトリコンピュータ製品は2025年に40周年になる。Express5800を含めて、長年にわたって日本のエンタープライズITを支えてきた同社の技術を絶えさせることなく、今後もさらなる成長を遂げていきたいと森氏は抱負を語る。

 「30年という節目を迎えるに当たって、これまで先人が積み上げてきた歴史を改めて振り返ってみると、やはり感慨深いものがあります。こうした先人たちの思いをしっかりくみ取った上で、これからも40周年、50周年に向けてExpress5800の歴史を紡いでいきます」(森氏)

photo
取材したNECのメンバー

30周年特設サイトはこちら!

photo


Express5800シリーズ イノベーションストーリー

〜ビジネスのために変化し続ける30年間の歩み〜

■Express5800の進化と革新の歴史

■Why NEC? NECのこだわり製品

■最新!製品情報

https://jpn.nec.com/pcserver/30th-anniversary/index.html



Amazonギフトカード3000円分が当たる!アンケート実施中 <本アンケートは終了しました>


「30周年を迎えたNECの『Express5800』 PCサーバ史に見る、企業ITのこれまでとこれから」に関するアンケートを実施中です。
アンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で10名様にAmazonギフトカード3000円分をプレゼントいたします。「アンケートはこちら」ボタンから、ぜひご回答ください。

※賞品(Amazonギフトカード)の発送をもって発表にかえさせていただきます。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2024年8月23日

Amazonギフトカード3000円分が当たる!

<本アンケートは終了しました> 「30周年を迎えたNECの『Express5800』 PCサーバ史に見る、企業ITのこれまでとこれから」に関するアンケートを実施中です。アンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で10名様にAmazonギフトカード3000円分をプレゼントいたします。

ページトップに戻る