Anthropic、企業用の生成AIアシスタント「Claude Enterprise」を発表 50万トークンのコンテキストウィンドウで何ができるのか:シングルサインオンなどセキュリティ機能やGitHubと統合も
Claudeを開発したAnthropicは、企業用の生成AIアシスタント「Claude Enterprise」のサービス提供を開始した。
Anthropicは2024年9月4日(米国時間)、同社の大規模言語モデル(LLM)「Claude」を企業向けに提供する「Claude Enterprise」を発表した。企業が社内の知識を活用し、Claudeと安全にコラボレーションできるよう支援するという。
Claude Enterpriseプランでは、コンテキストウィンドウが50万トークンに拡張され、使用容量も増強されている。GitHubとのネイティブ統合機能により、エンジニアリングチームはコードベース全体でClaudeを利用して作業できる。また、SSO(シングルサインオン)、役割ベースの権限、管理ツールなど、エンタープライズグレードのセキュリティ機能を利用して、データとチームを保護できる。
「Claudeを使えば、社内の知識の共有や再利用が容易になり、チームの全メンバーが迅速に、一貫して最高の成果を挙げることができる。同時に、データは保護される。われわれは、ユーザーの会話やコンテンツでClaudeをトレーニングしない」と、Anthropicは述べている。
Claude Enterpriseは他のプランとは異なり、料金については、営業担当者に問い合わせる必要がある。
Claude Enterpriseで何ができるのか
Claudeと社内の知識を統合することで、これまで以上に多くのプロジェクト、意思決定、チームに専門知識、ノウハウを広く適用できる。
Enterpriseプランでは、50万トークンのコンテキストウィンドウを利用して、Claudeとコラボレーションできる。このコンテキストウィンドウサイズは、数百件の販売記録、数十点の100ページ以上のドキュメント、中規模のコードベースなどに相当する。Claudeに知識を取り込むことで、特定分野に関する深いガイダンスが得られる。
GitHubとのネイティブ統合機能により、エンジニアリングチームがGitHubリポジトリをClaudeに同期することも可能だ。これにより、Claudeがコードベースを利用して提供する支援を生かして、新機能のイテレーション、問題のデバッグ、エンジニアのオンボーディングなどが行えるようになる。
Anthropicは、Claudeを重要なデータソースに接続し、Claudeがより適切で洞察に富んだ支援を提供できるようにするために、ネイティブ統合機能の構築を進めている。GitHubとのネイティブ統合機能はその第1弾だ。この機能は、Enterpriseプランの初期ユーザー向けにβ版として提供されている。Anthropicは2024年中に、この機能をより広く提供する計画だ。
さらに、拡張されたコンテキストウィンドウをプロジェクトおよびArtifacts機能と組み合わせることで、Claudeは、アイデアを高品質な成果物として形にしようとするチームの取り組みを支援する、エンドツーエンドのソリューションとなる。例えば、以下のようなことが可能になる。
- マーケティング担当者が市場動向を入力し、説得力のあるキャンペーンに変換する
- 製品マネジャーが製品仕様をアップロードし、Claudeがインタラクティブなプロトタイプを作成する
- エンジニアがコードベースをClaudeに接続し、エラーのトラブルシューティングや最適化方法の特定について支援を得る
エンタープライズグレードの管理
Enterpriseプランでは、企業の機密データの管理、保護に対応できる以下のような主要なセキュリティおよび管理機能を利用できる。
SSOとドメインキャプチャー
ユーザーアクセスを安全に管理し、プロビジョニング管理を一元化する。
きめ細かな権限設定による役割ベースのアクセス
ワークスペースの主な所有者を指定し、セキュリティと情報管理を強化する。
監査ログ
セキュリティとコンプライアンス監視のためにシステムアクティビティーをトレースする。この機能は数週間以内に利用可能になる。
SCIM(クロスドメインID管理システム)
ユーザープロビジョニングとアクセス制御を自動化する。この機能も数週間以内に利用可能になる。
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