エンジニアにとっての「リスキリング」とは何か?:仕事が「つまんない」ままでいいの?(119)(1/2 ページ)
近年、リスキリングという言葉をよく見聞きするようになりました。DXをはじめ、エンジニアの仕事はこれからの社会に必要な業務の最前線です。そんなエンジニアにもリスキリングは必要なのでしょうか?
近年、「リスキリング」という言葉をよく耳にしますよね。
リスキリングの定義を調べてみました。経済産業省のWebサイトに掲載されている「リスキリングとは」によれば、
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。
とあります。また、
近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業に就くためのスキル習得を指すことが増えている。
となっています。
デジタル化の最前線にいるエンジニア
ここで考えてみたいのが、エンジニアの皆さんのケースです。
エンジニアの仕事、特にITに関する業務は、まさにデジタル化の最前線に位置しています。そう考えると、リスキリングなんてわざわざ考えなくても、普段の業務をこなしていくだけで十分なんじゃないか? リスキリングを考えるにしても、今の環境でスキルを極めることに集中していけば、何も心配いらないんじゃないか? という感じもします。
ただ……実際には、技術的なスキルが高いからといって「リスキリングが不要か?」というと、「そうとも言い切れないな」とも感じます。
技術があれば仕事ができるか?
先日、あるベテランのエンジニアNさんと話す機会がありました。Nさんは近年、行政や民間企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)に関して声を掛けられるケースが多いそうです。DXについて、Nさんはこう言います。
「DXで大切なのはD(デジタル)ではなくX(トランスフォーメーション)の方。というか、DXで大切なことの8割はトランスフォーメーションだといっていい。だけど実際にはデジタルの話が多くて……。デジタル化だけ進めても、うまくいかないんだよね」
DXをまじめに進めるためには「現在の業務を単にデジタルに置き換えるだけでいい、というわけではない」とNさんは言います。
業務を変革するためには「そもそも、これは何のために必要なのか?」といった問題の本質から考える必要がありますし、ある業務を抜本的に変えるためには周囲の協力も必要です。また「何でこんなことをしなくちゃいけないんだ!」と変化に抵抗する人に対応したり、変化の負担自体を感じさせないように変革を進めたりと、多様な人たちとの関わりが必要なケースも多いものです。
このように考えると、エンジニアには、デジタル化の技術を極めることに加えて、以下のようなリスキリングが必要ではないかと思います。
- 相手と信頼関係を築くコミュニケーション能力
- 本質的な問題を見える化し、理想を言語化する能力
- 分かりづらいことをモデル化し、再現する能力
- さまざまな意見をまとめるファシリテーション能力
- 周囲を巻き込み、取り組みを継続する能力
もう少し具体的に見ていきましょう。
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