なぜ、倒産寸前だった事務機屋は「働き方改革事例共有会社」に変われたのか:社長が求めているのは本当にPCなのか?(1/3 ページ)
ときは常に移ろう。オワコン産業企業は時代の変化にどう対応していくべきなのだろうか――。
ときは常に移ろう。ある時代には大きく躍進した商品やサービスも、世の変化によって無情にも淘汰(とうた)されることがある。例えば、FAXの市場はこれから成長するだろうか?
いまでこそ、経営理念に「『働く』に笑顔を!」を掲げ、多くの中小企業の働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しているWORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)も、かつては倒産寸前にまで追い込まれた事務機屋だった。
そんな事務機屋が、なぜ再生できたのか? 代表取締役の石井聖博さん、顧客のDX伴走支援に従事する服部すみれさんに話を聞いた。そこには「中小企業の笑顔溢(あふ)れるワークスタイルモデルカンパニーになる!」という熱い思いがあった。
倒産寸前に追い込まれた事務機屋
「僕は典型的なばか息子で、大学も遊びほうけていました。『会社を大きくする』とか、『4代目として』といった意識はあまりありませんでした」(石井さん)
WORK SMILE LABOの前身は、曽祖父が創業した文具屋。石井さんが地元岡山に戻ったときは「石井事務機センター」として父親が経営しており、コピー機をはじめとしたオフィス用品を法人に向けて扱っていた。
ただ、売り上げは毎年右肩下がりだった。こうした状況は会社に入ってから知ることになる。入社3年目の2009年には会社が倒産寸前に追い込まれた。「父親に呼ばれて『もう少しで会社がつぶれる。他の仕事を探してくれ』と言われました」(石井さん)
負の遺産を背負わなくても、会社を辞めて新たな人生をスタートする選択肢もあった。だが、せっかく岡山に帰ってきたのに会社を倒産させるわけにはいかない。「私は長男です。両親を路頭に迷わすわけにはいきません」(石井さん)
父親と一緒に銀行へ行き支援を求めた。「支援をするためには、何か新しいことをやる必要がある」と言われた。だが、そう言われてもアイデアが簡単に降ってくるわけでもない。
「この状況を何とかしないといけない」と思うも、会社の経営方針やこれから取り組むべきことについて、父親とは全く意見が合わなかった。とにかく赤字を減らさなければいけない。従業員全員、一心不乱に営業するしかなかった。資金の余裕もなく、先も見えなかった状況を「あのときが一番大変でした」と石井さんは振り返る。
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