ガチのゲーマーがITエンジニアを夢見るようになるまで:Go AbekawaのGo Global! アジズさん From サウジアラビア(前編)(2/2 ページ)
ファミコン、スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション――私は、ほぼ全てのゲーム機器を制覇してきた生粋のゲーマーでした。
外科医になりたいなあ
阿部川 得意な科目、それと嫌いな科目は何でしたか。
アジズさん 良い質問ですねえ(笑)。エンジニアのくせに、ですが、高校の頃は数学が大っ嫌いでした。それよりも物理と歴史が好きでした。サウジアラビアやイスラムの歴史、それと世界史ですね。
阿部川 数学が嫌いとはねえ……。
アジズさん 物理学を勉強するために、できるかぎり好きになろうとはしたんですよ(笑)。
阿部川 当時、具体的になりたい職業などはありましたか。
アジズさん 大学への進学を考えていた高校2、3年の頃は、医者に、とりわけ外科医になりたいと考えていました。大学訪問で医学部を見学して、死体置き場で10数体の本物の死体まで見せてもらいました。
そのときに医師や大学生から医学的な説明など聞き、漠然と「外科医になりたいなあ」と考えるようになりました。実はその時に引率してくれた先生は、見学するうちに気分が悪くなって、ずっと外で待っていましたよ(笑)。
ただ、私は既にゲーマーでもありましたから、その延長でテクノロジーに対する興味も非常に強かったのです。それで最終的にはITエンジニアを夢見るようになりました。
初めての社会体験は、トヨタのディーラー
阿部川 ITエンジニアの道に進むと決めて、Taibah University(タイバ大学)に進学します。サウジアラビアには同学のようなテクノロジー系の大学が多いのですか。
アジズさん 多いですね。タイバ大学を選んだのは、生まれ育ったメディーナにあり実家に近かったことと、コンピュータ&インフォメーションシステムズ(情報工学科)があったからです。
阿部川 どのようなことを学びましたか。
アジズさん プログラミングの基礎、コンピュータ言語、コンピュータサイエンス、ソフトウェア開発ツール、データベースマネジメント、ネットワーク、セキュリティなど、本当にたくさんのことを学びました。これらを学び、いつか何かを創り出したいと思っていました。
大学で学んだことは今の仕事で生きており、犬などのペットを選んで、トレーニングして育てるAR(拡張現実)のシミュレーションゲームアプリを作りました。「たまごっち」のようなものです。
阿部川 サウジアラビアにもたまごっちはあるのですか。
アジズさん ありますよ。よく遊びました。
阿部川 大学時代、インターンは行きましたか?
アジズさん トヨタ自動車のディーラーで2カ月ほどお世話になり、ビジネス全体を学びました。サウジアラビアで唯一のディーラーで、非常に大きな組織でした。
IT関連の業務に加え、カスタマーサービスや部品交換のサービスなど、自動車関連のたくさんの仕事を経験させてもらいました。最初のリアルな社会体験で、仕事と呼べることを初めて行いました。フロントで顧客と対応することも、バックオフィスで社内の仕事を経験することも、同時に学べました。とても楽しかったし、意味のある経験だったと思います。
ゲームざんまいの子ども時代を過ごしたアジズさんは、その延長でテクノロジーに興味を持ち、ITエンジニアを夢見るようになった。後編は、アジズさんがオーストラリアを経て日本に来るまで、そして彼の「夢」を伺う。
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