「コーディングが必要な場面が多い」よりも重い、ローコード/ノーコードの課題とは ノークリサーチ調査:1300社の中堅中小企業が回答
ノークリサーチは、中堅中小企業を対象に実施したローコード/ノーコード開発ツールに関する調査の結果を発表した。注目を集める同ツールだが、利用形式や用途によって課題が生じていることが分かった。
ノークリサーチは2025年4月2日、中堅中小企業を対象に実施したローコード/ノーコード開発ツールに関する調査の結果を発表した。この調査は、全国の中堅中小企業(年商500億円未満)を対象に実施し、1300社から有効回答を得た。
導入して分かった、2つの「思っていたのと違う」
ローコード/ノーコード開発ツールが注目を集めている。同開発ツールを活用する場面について尋ねたところ、「ツール上で画面や処理を定義してソースコードを出力する」と「ツール上で定義した画面や処理をクラウドで動かす」では、後者(ツール上で定義した画面や処理をクラウドで動かす)の方が多かった。
【お詫びと訂正:2025年4月3日追記】記事公開時、「ローコード/ノーコード開発ツールの導入割合」としていましたが、正しくは「ユーザーの認識」(ローコード/ノーコード開発ツールをどのように捉えているか)でした。お詫びして訂正させていただきます。
だが、ノークリサーチはこの調査結果について「ローコード/ノーコード開発ツールによる効率化と、オンプレミスまたはクラウドといったインフラの選択は本来別々に検討されるべきものだ」と指摘している。「ローコード/ノーコード開発ツール=クラウドサービス」という刷り込みが広まると、「クラウド移行が難しい業務システムにはローコード/ノーコード開発ツールは適用できない」という誤解を生み、それがツール活用の縮小要因にもなりかねないという。
ローコード/ノーコード開発ツールを適用する場面や用途について見ると、「既存システムの機能追加」と「クラウドサービス間の連携」といった用途での導入が進んでおり、導入済みの企業でも「今後拡大する予定だ」と回答した割合が高かった。ノークリサーチは、これら2つの場面と用途が、ローコード/ノーコード開発ツール活用の拡大を図る上で有効だと分析している。
ツールの課題については、「コーディングが必要となる場面が意外と多い」と「実現できる画面仕様や処理内容が限られる」の2つが目立っている。両者を比べると「実現できる画面仕様や処理内容が限られる」を挙げた企業の割合が「コーディングが必要となる場面が意外と多い」を上回っており、ノークリサーチは「コーディングの作業量が削減できたとしても、ユーザーインタフェースやビジネスロジックを実現できなければ本末転倒だ。ローコード/ノーコード開発ツールでは素早さや手軽さが強調されがちだが、ツールがユーザー企業の要求レベルを満たせるかどうかといった視点が重要だ」としている。
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