多くの企業が「RAGの精度が出ない問題」に悩む中、ガートナーが「次のアプローチ」を予言:汎用LLMの3倍使われるという「特化型モデル」とは何か
ガートナージャパンは、企業は2027年までに小規模でタスクに特化したAIモデルを導入するとの見解を発表した。2027年までに、企業はタスクに特化したAIモデルを少なくとも汎用LLMの3倍多く使用するようになるという。
ガートナージャパンは2025年4月10日、企業のAIモデル活用に関する見解を発表した。汎用(はんよう)大規模言語モデル(LLM)は言語処理能力の点で強力であるものの、特定のビジネス領域での文脈を必要とするタスクでは応答の正確性が低下する傾向にあると指摘。このため、「企業は2027年までに汎用LLMよりも、小規模でタスクに特化したAIモデルを導入するようになる」と予測している。
RAGへの挑戦と失敗が「特化型モデル」への期待を高める?
Gartnerのスミット・アガルワル氏(バイスプレジデント アナリスト)は「小規模でタスク特化型のモデルは、応答が迅速で、計算リソースも少なくて済むため、運用や保守のコストを抑えられる。ビジネスワークフローでのタスクの多様性と、より高い正確性へのニーズが、そうしたタスク特化型モデルへの移行を促している」と述べている。
特化型モデルの主な構築方法としてはファインチューニングと検索拡張生成(RAG)がある。こうしたプロセスでは自社データが差別化要素となるため、データの準備や品質管理、バージョン管理、ファインチューニング要件に沿った構造化が必要となる。ガートナージャパンは、「自社独自のモデルを商用化することで、企業は新たな収益源を創出すると同時に相互接続されたエコシステムの形成を促進できる」としている。
ガートナージャパンの亦賀忠明氏(ディスティングイッシュト バイスプレジデント)は、「日本では、多くの企業がRAGにチャレンジしているが、精度に関する課題を抱えている。こうした状況を乗り越え、自社のAI能力を強化するために、今後、小規模でタスクに特化したAIモデルや、それを基にしたAIエージェントやエージェント型AIへの取り組みを強めていくだろう」と述べている。
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