テクノロジーへの扉を開いた、Pentium 4搭載PC:Go AbekawaのGo Global! ビクトルさん from メキシコ(前編)(2/2 ページ)
幼少期は、絵を描いたりゲームをしたり本を読んだりするのが好きでした。その経験と母がくれたプレゼントが、今の私を形作ってくれました。
システムエンジニアリングを学ぶのは「一般的」
PCを通じてテクノロジーへの深い興味を抱いたビクトルさんにとって、大学で情報工学を学ぶことは、自然な選択であった。
「テクノロジーやサイエンスを学ぶには、メキシコで最良の大学」であるInstituto Technologico de Zacatepec (サカテペック工科大学)への入学を志願した。この選択は、彼の学びに対する真摯(しんし)な姿勢と、最高の環境で知識を吸収したいという強い意志の表れであった。
メキシコの大学入学には幾つかの方法があり、サカテペック工科大学の場合は、数学、スペイン語、歴史、物理といった複数の教科の試験を突破する必要があった。厳しい入試試験を勝ち抜いたビクトルさんは、システムエンジニアリングを専門とし、ネットワークとデータベースに重点を置いて学んだ。
当時のメキシコシティにはシステムエンジニアの就職機会が豊富であったため、この分野を選択することは「一般的」であったという。大学で4年間、システム開発の根幹を成す技術を深く習得し、来たるべき社会人デビューのための基盤を築き上げていった。
スポーツに本格的に取り組むようになったのも、大学に入ってからのことであった。およそ20歳になる頃から、サッカー、格闘技、ランニングなどを始めたという。メキシコではサッカーが国民的なスポーツであるため、ビクトルさんもまた幼少期からサッカーをプレイしていたものの、より魅力を感じたのはテコンドーのような格闘技であった。
転職、転職、また転職
大学を卒業後、ビクトルさんはエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた。最初の職場は、故郷クエルナバカのスタートアップ企業であった。ここでは、「WordPress」を用いたWebページの作成、JavaScriptの活用、そしてAR(拡張現実)環境の構築といった、多岐にわたる業務に携わった。
スタートアップ特有の幅広い技術に触れる機会が、ビクトルさんの初期のスキルセット形成に大きく貢献したことは想像に難くない。
24歳の時にメキシコシティへと活動の拠点を移し、銀行(バンコアズテカ)へ転職する。銀行での仕事は、主にATM関連のネットワーク構築、運用、C言語によるプログラミング、さらには「Oracle Database」など、金融システムを支える重要な技術を担当した。
銀行という安定した、そして高度なセキュリティが求められる環境での経験は、彼のエンジニアとしての専門性をさらに高めるものであった。銀行への転職理由をビクトルさんは「給料が良かったので(笑)」と率直に語る。
その後、「当時、iOSをベースにしたモバイルアプリケーション開発の仕事をしたい」と考えていたビクトルさんは、Sellcom Solutionsに転職し、モバイルアプリケーション開発者となる。
同社でモバイルアプリケーション開発の経験を積んだ後、デジタルアルバムを作成するスタートアップ企業、ピクティアへ転職し、よりコンシューマーに近い分野での経験を積んだ。
ビクトルさんのキャリアの軌跡は、一貫して技術への好奇心と成長への意欲に満ちている。故郷のスタートアップでの基礎固めから始まり、銀行での堅牢(けんろう)なシステム構築、そしてモバイル、デジタルコンテンツへと、その時々の最先端技術と自身の興味を掛け合わせながら、着実にスキルを積み上げてきたのである。
Go Global メキシコ編、後編では、ビクトルさんがなぜ日本へと渡ることを決意したのか、そして、これまで何度も実践してきた「パーソナルプロジェクト」とは何なのか、などを伺う。
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