コードを手で書いた経験のある最後の世代は、AI時代をどう生きるか:技術力はコミュニティーで伸ばせ(1/3 ページ)
エンジニアがAI時代を生きのこるために必要な「技術力」と「仕事力」。自分で負荷をかけねばならない「ホワイト社会」で、どのようにこの2つの力を獲得すればいいのか、具体的な行動指針を「きのこる先生」が提示する。
こんにちは、「きのこる先生」です。今回は「成長が自己責任になった令和をきみたちはどう生きるか」の続きです。
前回は、以下のようなことをお話ししました。
- 日本社会はホワイト化し、ブラック企業は駆逐されつつある
- その結果「強制的なチャレンジの機会」が激減し、成長のための負荷を自分でかける必要がある
- AI(人工知能)のコーディング力は日進月歩で向上し、業界に入ってくる若い人のスキルも向上している
ということで、2025年に現役でエンジニアをしている皆さんに「ボーッとしてるとやばくない?」という問題提起をさせてもらいました。
でもまあ、ソフトウェアエンジニアが「ボーッとしてるとやばい」のはいまに始まったことではありません。移り変わりの速いIT業界では、現状維持は実質的に後退を意味します。生成AIの登場で変化の速度はちょっと(だいぶ?)上がりましたが、エンジニアとしてやるべきなのは、やっぱり「いまの技術を磨き、新しい技術を学ぶ」ことです。
今回は、そんな時代を生きのこるために、「技術力」と「仕事力」を上げていこうよ、という話をします。
今回もアイティメディア従業員提供のきのこたちが、無駄に記事を盛り上げます。1番バッターは、DEプロダクト部のN・Mさん。「高尾山に登山したときに撮りました」とのこと。登山の間中ずっときのこを探してくれたらしく、30枚以上の写真を提供してくれました。
「いま」エンジニアができること
前回お話しした通り、生成AIはどんどんコーディングスキルを伸ばし、若い人は年々基礎スキルを高めています。
そんな状況で「いま」現役のエンジニアはどうしたらいいのでしょう? 令和のラッダイト運動でも起こしてAIと戦う? エンジニアは終わったと見切りをつけて転職する?
菌類、実は現状そんなに悲観していません。現役エンジニアにとって、いまはむしろチャンスに恵まれた時代だと思っています。
技術は常に進歩してきました。それはソフトウェア開発でも例外ではありません。思い出してみてください、クラウドインフラの登場、仮想化やコンテナ化の流れ、Webアプリケーションフレームワークの普及など、「ゲームチェンジャー」と呼ばれる新技術の登場を、キャリアの中で一つや二つは経験しているでしょう。AIによるソフトウェア開発の変革もその一つですから、粛々と習得して生産性を向上させればいいのです。
ゲームチェンジャーによる転換期に現役エンジニアでいることは、その「前」の知識と経験があり、それを生かして「後」をリードする立場だと言えます。つまりわれわれは、「コードを手で書いた実務経験がある最後の世代」であり、「AIがコードを書くようになった最初の世代」なのです。
実際にプロダクションコードを手で書き、テストし、デプロイして運用するという経験は、これからキャリアを積んでいくAIネイティブ世代のエンジニアには得難い経験です。特に最近は「AIが生成したコードの1行まで責任を持つべし」という意見が高まっていますから、本番環境で動くコードを書いた経験は大きな武器になるはずです。
また、AIによるコーディングツールは数週間や数カ月という短いサイクルで「覇権」が変わるエキサイティングなフェーズです。さまざまなツールを活用して生産性を上げ、新しい開発プロセスを作っていく役割も要求されるでしょう。
いままでの経験は大きな武器になり、新しい開発プロセスを開拓するフロンティアでもある。チャンスの山を感じませんか?
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私がベンチャー企業を渡り歩きVPoEになるまでの経歴と、活躍している多数のエンジニアたちと出会い、一緒に仕事をしてきた経験を基に、外部の状況にかかわらず必要とされるエンジニアに共通するスキルやスタンスをお伝えします。
