電通グループ、「AI For Growth マーケティングエージェント開発・導入・伴走支援サービス」を提供開始:AIエージェント開発・導入を支援
「AIと人との協働」を前提とした業務プロセス確立も支援。
国内電通グループの3社(電通デジタル、電通、電通総研)は2025年9月11日、企業のマーケティング業務の効率化・高度化、提供価値向上を図る「AI For Growth マーケティングエージェント開発・導入・伴走支援サービス」を提供開始すると発表した。
AIエージェント開発・導入の知見を持つ専門人材が伴走し、データ基盤整備、社内外システム連携などの技術力、Webサイトやアプリなど顧客接点構築で培った顧客体験のデザイン力などを生かして企業のマーケティング変革を支援するという。AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」の「AIマーケティングトランスフォーメーション(AIMX)ユニット」を通じて提供する。
具体的には5つの支援を行う。1つは「構想策定」。マーケティング業務・組織、顧客体験の現状を把握し、AIエージェントと共創する変革ゴール、KGI/KPI、ロードマップ、投資計画などの全体構想を策定する。2つ目は「業務プロセスデザイン」。現在の業務プロセスを分析し、AIと人との協働を前提にした、効率的かつ迅速な判断が行える業務プロセスを設計する。
3つ目は「AIエージェントの開発・利用定着化」。調査、戦略プランニング、クリエイティブなどのマーケティング領域における知見、データを活用した国内電通グループ独自のプロダクト、さまざまなプラットフォーマーが提供する各種プロダクトを組み合わせて、ニーズにフィットするAIエージェントを開発・導入。利用定着化まで伴走支援するという。
4つ目は、企業内システムやデータとの連携・接続による「AI-Readyなデータ基盤整備」。CDP(顧客データ基盤)構築支援、企業内システム開発、これらの連携における豊富な実績を基に、AIエージェントが適切かつ効果的に機能する環境構築を支援する。各種顧客データなどデータ群の整備や、MCP(Model Context Protocol)基盤整備も含まれる。さらに、「組織・人財変革」も行う。「AIと人との協働」を前提とした業務プロセス確立に向けて、組織構造や人員構成の見直し、一人一人のリスキリングやマインド変革を支援するという。
同グループでは、「本サービスや各種AIソリューションを通じて、企業のAIネイティブ化を支援し、マーケティング業務の効率化・高度化、顧客への提供価値向上に貢献していく」としている。
APACでもAIアプリ内製は限定的。AIエージェント投資は増加傾向
なお、デル・テクノロジーズが2025年8月26日に発表した、アジア太平洋(APAC)地域のAI導入動向に関する調査結果によると、APAC地域では、AIプロジェクトの20%が失敗。主な要因は、「AIガバナンスの不備」(19.3%)、「人材不足」(18.4%)、「過剰なインフラコスト」(16.9%)だった。特に人材に関する企業の危機感が高いという。
またAPAC地域の企業は、外部パートナーの支援を活用している割合が多く、AIを社内で開発している企業は30%、市販のAIツールを利用している企業は約10%、残る60%はAIアプリケーションの開発を社外に委託していた。中でも小売り業界では、AIを活用している企業は82%、生成AIは63%。AIエージェントと生成AIエージェントへの投資が増えており、「顧客に合わせてパーソナライズした提案」や「予測的な在庫管理」「ダイナミックな価格設定戦略の基盤」などに活用されていた。
生成AI関連の各種製品/サービスが急速に充実し、周囲の企業が採用する動きも高まる中、取り組みのハードルは着実に下がりつつあるが、半面、自社の状況や目的に対するROIはどうなのか、トレンドに流されない真の判断力、選定眼も問われている。
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