「保守的なAI戦略」を採るCFOはわずか4%に Salesforceが調査:経営層も「AIへのアプローチ」を根本的に転換
Salesforceは、企業のCFOを対象に実施した調査結果を発表した。CFOはAIへのアプローチを根本的に転換し、従来のコスト削減を目的とした慎重な姿勢から、長期的な収益拡大を目指す戦略的な投資に移行していることが分かった。
Salesforceは2025年9月17日、企業の最高財務責任者(CFO)を対象に実施した調査結果を発表した。それによると、CFOはAI(人工知能)へのアプローチを根本的に転換し、従来のコスト削減を目的とした慎重な姿勢から、長期的な収益拡大を目指す戦略的投資に移行していることが明らかになった。
CFOも「AIは単なる新興技術ではない」と気付いた
2020年の調査では、「保守的なAI戦略を採っている」と回答したCFOの割合は70%だったが、今回の調査ではわずか4%にまで急落した。Salesforceはこの点について「もはやAIが単なる新興技術ではなく、効率性向上や業務最適化、長期的成長の推進に不可欠なツールであるという認識がCFOの間で広がった」と分析している。
Salesforceは、こうした変化の背景としてCFOによる技術投資のROI(投資利益率)評価の根本的な見直しを挙げた。CFOの半数以上(61%)が「AIエージェントによってROIの評価方法が変わりつつある」と回答した。コスト削減だけでなく、リスク、コンプライアンス改善や収益増加といった幅広い成果を投資の成功指標として考慮するようになっている。
また、今回の調査では、多くのCFOが支出に対する考え方を根本的に変えつつあることも浮き彫りになった。
- 平均して現在のAI予算全体の25%をAIエージェントに充てている
- 61%が「AIエージェント/デジタル労働力は現代の経済環境で競合に勝ち抜くために不可欠」と回答
- 64%が「AIエージェント/デジタル労働力によって、自社の投資に対する考え方が変わっている」と回答
さらに、CFOは定型業務と戦略業務をAIエージェントに担わせることで、コスト削減と収益向上の両立が可能だと見ている。
- 74%が「AIエージェントはコスト削減だけでなく収益向上にも貢献する」と回答
- 72%が「AIエージェントによってビジネスモデルが変革される」と回答
- 55%が「AIエージェントは定型業務よりも戦略的な業務を担うようになる」と回答
このニュースのポイント
Q: Salesforceが発表した調査の対象は?
A: 企業のCFOで、AIに対する投資や活用戦略についての意識を調査した。
Q: CFOのAIに対する姿勢はどのように変化したか?
A: 2020年には70%が「保守的なAI戦略」を採っていたが、2025年では4%に激減。AIはコスト削減目的の技術ではなく、成長戦略の中核と捉えられるようになった。
Q: CFOが重視するAI投資の評価方法はどう変わったか?
A: ROIの評価が「コスト削減中心」から、リスク、コンプライアンス改善や収益増加など幅広い成果を指標とする方向に転換。
Q: 調査が示すメッセージは?
A: CFOはAIを単なる効率化ツールではなく、長期的成長を導く「戦略的パートナー」とみなすようになり、AIエージェントとデジタル人材への投資姿勢が積極化している。
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