Claudeが業務の“現場”に踏み込む Anthropicが専門タスク対応機能「Agent Skills」を追加:Microsoft 365連携、エンタープライズ検索も
Anthropicは「Claude」に「Agent Skills」「Microsoft 365コネクター」「エンタープライズ検索」の3つの新機能を追加したと発表した。
Anthropicは2025年10月16日(米国時間)、同社の「Claude」に新機能を追加したと発表した。特定のタスクをより適切に実行できるようにする「Agent Skills」(以下、Skills)、MCP(Model Context Protocol)を使ってMicrosoft製品と連携する「Microsoft 365コネクター」(Microsoft 365 connector)、Claudeに社内データソースを一括して検索させる「エンタープライズ検索」の3つだ。
Claudeが「特定分野のスペシャリスト」に
Skillsは、ユーザーの指示やメタデータ、スクリプト、テンプレートなどをフォルダにまとめたもの。Anthropicは「ファイルシステムベースの再利用可能なリソース」と説明している。
Claudeが必要に応じてSkillsを読み込むことで、「Microsoft Excel」の操作や、企業のブランドガイドラインに沿った文書の作成の順守など専門的なタスクをより適切にこなせるようになるという。「Claudeは企業にとって重要な分野のスペシャリストとして機能するようになる」と、Anthropicは述べている。
Skillsの特徴
Claudeはタスクの処理中に、利用可能なSkillsをスキャンし、該当するものを探す。該当するSkillsが見つかると、必要な最小限の情報とファイルのみを読み込むという仕組みになっている。
Skillsの特徴はその設計思想にある。特徴的な設計思想は以下の4点だ。
1.構成可能:タスクに応じて自動的に組み合わされる
Claudeは与えられたタスクの内容を解析し、最適なSkillを自動的に識別して呼び出す。必要に応じて複数のSkillを組み合わせ、より複雑な処理も可能になる。
2.ポータブル:一度作れば全てのClaude製品で使える
Skillsは、一度作成すれば、Claudeの全製品(Claudeアプリケーション「Claude.ai」「Claude API」「Claude Code」を含む)で利用できる。
3.効率的:必要なときに必要なものだけを読み込む
Skillは「段階的ロード(progressive loading)」方式を採用しており、メタデータ、指示文、コードやリソースといった要素を段階的に読み込む。これにより、Claudeのコンテキストウィンドウを圧迫せず、必要最小限の情報で高速かつ効率的に動作する。
4.強力:コード実行を伴う拡張も可能
Skillには単なる指示文だけでなく、実行可能コード(例:bashや「Python」スクリプト)を含めることができる。これによって、データ処理やファイル操作など、従来のプロンプトでは難しかった高度なタスクも自動化できる。ただし、実行コードを扱う性質上、信頼できるソースからのSkill利用やセキュリティ管理が不可欠だ。
Claudeアプリでの利用
Skillsは2025年10月現在、「Pro」「Max」「Team」「Enterprise」プランのユーザーが利用できる。ドキュメント作成のような一般的なタスク用のSkills、カスタマイズ可能なサンプル、独自のカスタムSkillsの作成機能が提供される。
カスタムSkillsの作成は、「skill-creator」Skillが提供する対話型のガイダンスに従って実施する。
なお、「Team」および「Enterprise」プランのユーザーがSkillsを利用したい場合は、まず管理者が組織全体でSkillsを有効にする必要がある。
Claude Codeでの利用
Skillsは、チーム固有の専門知識やワークフローをClaude Codeに統合することもできる。公式GitHubリポジトリ「anthropics/skills」からサンプルを入手して導入できる他、「~/.claude/skills」ディレクトリに手動で追加することも可能だ。Gitなどのバージョン管理を通じて、チーム間でSkillsを共有できる。さらに「Claude Agent SDK」では、カスタムエージェントの開発においてSkillsの読み込みや管理をサポートしている。
Microsoft 365コネクターで業務ツールと連携
Microsoft365コネクターはMCPを使ってClaudeを「Microsoft 365」に接続するものだ。「Microsoft SharePoint」「OneDrive」「Microsoft Outlook」「Microsoft Teams」などと連携させることで、Claudeがコンテキストを把握し、より効果的にコラボレーションを支援できるという。
Microsoft365コネクターは、2025年10月現在、TeamおよびEnterpriseユーザーが利用できる。
エンタープライズ検索で社内知識を横断的に活用
ユーザー企業ごとに設けられた専用の共有プロジェクトを通じて、社内の知識に容易にアクセスできる仕組みがエンタープライズ検索機能だ。TeamおよびEnterpriseユーザーが利用できる。チームが使用する前に、管理者は自社のデータソースを接続して設定しておく必要がある。
これにより、Claudeに質問すると、接続されている社内データソースを一括して検索でき、自分のファイルだけでなく、社内全体の集合知に基づいた回答が得られるようになる。Anthropicによると、エンタープライズ検索機能は、新しいチームメンバーのオンボーディング、戦略的な質問への回答(顧客フィードバックのパターン分析など)、任意のトピックについて相談すべき適切な社内専門家の特定などに役立つという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“世界最高のコーディングモデル”をうたう「Claude Sonnet 4.5」登場 長時間タスク対応と安全設計
Anthropicの最新モデルは、長時間の開発作業でも安定して動作する処理能力と、利用者が安心して使える安全設計の両面で進化。開発者向けに多くの新機能も追加された。「Claude Code」がプラグインをサポート AIエージェントやツールをまとめて配布可能に
Anthropicは、エージェント型コーディングツール「Claude Code」がプラグインでカスタマイズできるようになったと発表した。これによって「スラッシュコマンド」「サブエージェント」「MCPサーバ」「フック」など、機能拡張のための仕組みを一つのパッケージにまとめて共有できるようになるという。「Google Chrome」でClaudeを使える拡張機能 Anthropicが検証目的で限定公開
Anthropicは、生成AIツール「Claude」がWebブラウザ「Google Chrome」を直接操作できる拡張機能の試験運用を開始したと発表した。一般提供前に安全性や有効性を検証することが目的だ。