「生成AIは失敗だった?」 コーディング/開発現場で生産性が下がる3つの理由:Google、DoRAのROI調査
Googleは、AI支援によるソフトウェア開発のROIに関するDORAの調査レポートの主要な知見を公開した。AIも導入初期の生産性低下すると指摘し、理由や対策を解説している。
Googleは2026年6月10日(米国時間)、AI支援によるソフトウェア開発のROI(投資対効果)に関するDORA(DevOps Research and Assessment)の調査レポート「ROI of AI-assisted Software Development report」の主要な知見を公開した。DORAはGoogle Cloudの調査研究プロジェクトで、10年以上にわたってDevOpsの研究と調査を行っている。
コーディング/開発現場で生産性が下がる3つの理由
DORAのレポートによると、AI投資が収益につながる道のりは一直線ではないという。多くの組織は導入初期に生産性が一時的に低下して不安定になる時期、いわゆる「Jカーブ」に直面する。これは新技術導入における正常な過程であり、戦略の失敗を示すものではないとレポートは指摘する。
レポートはこの現象が起こる主な理由として、以下の3点を挙げている。
学習曲線
チームが日々のワークフローを適応させ、高度な手法を習得するには、通常の機能開発から離れた専用の時間が必要になる。単純なプロンプト入力から、コンテキストと意図に基づくシステム構築に移行する過程でもある。
検証の負担
AIが生成するコードの量が大幅に増えるため、開発者は信頼性の確保、ハルシネーション(AIが事実と異なる内容を生成すること)の防止、社内のアーキテクチャ基準への適合を確認するために、生成物を厳格にレビューする時間を追加で要する。
パイプラインの適応
個々の開発者がコードを大幅に高速に生成するようになると、テストや変更承認といった後工程がボトルネックになる。増加した処理量に対応できるよう、積極的(プロアクティブ)に拡張する必要がある。
この初期の学習段階をあらかじめ予算に組み込むことが、移行を成功させる鍵だとしている。一時的な生産性の低下を想定した上でプロジェクトを進めることで、初期の課題をチームの長期的なスピードへの投資と捉え、自信を持って前進できるとしている。
AIの収益に関する市場の格差を理解する
DORAの2025年のレポートによると、テクノロジー専門家の90%が職場でAIを利用していると回答した。ほぼ全面的に普及しているにもかかわらず、財務的な影響は組織によって差がある。エンジニアリング投資から明確な価値を得ている企業がある一方で、予期しないコストに苦しむ企業も存在している。
プロジェクトが期待を下回る原因の多くは、それを機能させる組織的な支援がチームに不足していることにある。期待する成果を得るには、新技術を受け入れられるようワークフローとチームを事前に準備することが不可欠だと指摘している。
AIのROI算定
現実的な財務モデルの構築は、AIが価値を生み出す箇所を見極めることから始まる。SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)全体を通じて、AIはコスト削減、生産性向上、セキュリティ改善、開発者とユーザー双方の体験向上に寄与できるという。
Googleはこのモデル化を支援するために対話型のROI計算ツール「interactive ROI calculator」を提供している。AI導入における可視的な費用と見えにくいコストの両方を試算できる。前提条件を自社の状況に合わせて調整しながら、独自の見積もりを作成できるという。
DORAのレポートでは、ROIの測定は技術戦略を検証する上で重要な要素だが、長期的な成功は最終的に、AIを機能させるために必要な組織体制と文化の構築にかかっていると指摘している。
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