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「AIで人を減らさない」企業が7割 代わりに求める“新・業務設計力”とはAI導入企業の調査で見えた人材戦略の変化

AIによる工数の削減は、人員削減にはつながっていない――。そんな実態が、TWOSTONE&Sonsの調査で明らかになった。AI導入企業の7割が人員削減を実施していない一方で、実は企業が求めるスキルは大きく変化している。

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 IT人材サービスを手掛けるTWOSTONE&Sonsは2026年3月17日、AI(人工知能)導入企業の経営戦略と人的資本の再配置に関する実態調査の結果を発表した。調査は、全社的にAIを導入している企業(従業員500人以上)の経営者・役員108人を対象に実施した。

AI導入でも人員削減は進まない“なるほど”な事情

 回答者にAIを活用する業務を聞いたところ、資料作成や翻訳といった文書作成・事務効率化関連(73.1%)が最多だった(図1)。法務チェックや経営予測といった専門業務支援関連(50.9%)、ソースコード生成や障害対処などの開発・システム関連(46.3%)が続いた。AIの導入効果では、既存事業の生産性向上や業務効率化への寄与が最も多く、45.4%となった。

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図1 AIを活用する業務(出典:TWOSTONE&Sonsのプレスリリース)《クリックで拡大》

 AI導入による業務工数削減を踏まえた人員削減については、「実施した」は25.9%にとどまった(図2)。「実施していない」は71.3%を占め、内訳は「実施していないが、今後の実施を検討している」が35.2%、「実施しておらず、今後も実施の予定はない」が36.1%だった。

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図2 AIによる業務工数削減を受けた人員削減の実施・検討状況(出典:TWOSTONE&Sonsのプレスリリース)《クリックで拡大》

人員削減を見送る理由は「削減可能な業務が限定的」が最多

 人員削減を実施していないとの回答者に理由を聞いたところ、「AI導入で削減できる業務が限定的」との回答が45.5%で最も多かった(図3)。「企業文化として雇用維持を重視している」が36.4%、「事業拡大や新規事業に人材が必要」が33.8%で続いた。

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図3 AIで業務工数を削減しても人員削減を実施していない理由(出典:TWOSTONE&Sonsのプレスリリース)《クリックで拡大》

 AI導入によって浮いた人材・予算といったリソースの再投資先では、既存事業の強化や拡大(56.2%)が最多だった(図4)。次いで、新規事業や新サービスの開発(41.0%)、データ基盤やITシステムへの投資(39.0%)が挙がった。

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図4 AI導入で浮いたリソースの再投資先(出典:TWOSTONE&Sonsのプレスリリース)《クリックで拡大》

AI時代に求められるスキルの変化

 既存社員に求める役割・スキルが、AI導入で「かなり変化した」との回答は20.4%、「やや変化した」との回答が45.4%だった。これらの回答者に、既存社員に求める役割・スキルを聞いたところ、AIを前提に業務の進め方を組み立て直す力が23.9%で最多だった(図5)。AIやデジタルツールを使いこなして成果を出す力が21.1%、データや情報を基に判断・提案する力が18.3%で続いた。

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図5 AI時代に既存社員に求める役割・スキル(出典:TWOSTONE&Sonsのプレスリリース)《クリックで拡大》

 新規採用人材に求めるスキルについては「かなり変化した」との回答が18.5%、「やや変化した」との回答が48.1%だった。該当する回答者に、新規採用人材に求めるスキルを聞くと、AIを前提に業務の進め方を組み立て直す力と、データや情報を基に判断・提案する力が、いずれも20.8%で同率トップとなった。

 2026年のAI投資方針では「投資を増やす」が52.8%、「投資を維持する」が35.2%だった。両者を合わせると88.0%に達し、投資継続が大勢を占めた。

 AI導入企業は単純な人員削減ではなく、人材の再配置や育成を重視しているとTWOSTONE&Sonsは分析する。背景には、AIで代替できる業務が限定的であることに加えて、雇用維持を重視する国内企業特有の価値観があるとみる。今後はAIを前提とした業務設計力やデータ活用力を持つ人材の育成・確保が、企業の競争力を左右する鍵になるとの見方を示す。

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