「運用負荷は減った、だが心理負担は増えた」 結局は人が面倒を見る“AI運用の矛盾”:AIOpsの理想と現実、ボスコ・テクノロジーズ調査
ボスコ・テクノロジーズは、AIOps導入企業の情報システム担当者を対象とした自動化実態調査の結果を公表した。業務負荷の削減効果を実感する一方、AIによる誤検知や誤動作への対応に負担を感じている実態も明らかになった。
通信システム開発企業ボスコ・テクノロジーズは2026年5月12日、「AIOps導入企業の自動化実態調査」の結果を発表した。調査対象はAIOps(AI技術を活用してIT運用の定型業務を自動化する手法)またはAIを活用したIT運用自動化ツールを導入している企業の情報システム担当者110人で、インターネット調査として2025年11月12〜13日に実施した。
AIによる運用自動化を導入した企業では、業務負荷の軽減や属人化の解消といった効果が表れていることが分かった。一方で、誤検知や誤動作への対応を負担に感じる担当者も多く、AI活用の拡大に伴って新たな運用課題も浮き彫りになっている。どのような業務で特に負担が減り、反対に導入後にどのような負担が生じているのか。具体的な内容は次の通り。
AIOpsで業務負荷は減った、だが不安が増した
AIOpsまたはAIによる運用自動化を導入した目的として最も多かったのは、「IT運用の属人化を解消するため」(59.1%)だった。これに「運用コストの削減」(54.5%)や「アラート対応の迅速化」(52.7%)、「監視精度の向上」(50.9%)が続いた。運用現場では、AIを高度な予兆検知のためだけでなく、属人化した業務の標準化や日常運用の効率化を目的に導入するケースが多いことがうかがえる。
AIOpsまたはAIによる運用自動化の導入前後で業務負荷がどう変化したかを質問した結果、「大幅に減った」(24.5%)、「やや減った」(50.9%)を合わせて75.4%が業務負荷の軽減を実感していることが分かった。一方で、後述するようにAIの誤検知や誤動作への対応に負担を感じる担当者も多く、効率化と運用管理の新たな課題が併存している。
「大幅に減った」「やや減った」と回答した担当者83人を対象に、AIOpsまたはAIによる運用自動化の導入によって削減・軽減された業務を複数回答で尋ねたところ、「ログの目視確認作業」(67.5%)が最多だった。これに「定型的な監視レポートの作成」(61.4%)が続き、「深夜・休日のアラート対応」や「障害の一次切り分け作業」なども半数を超えた。AIOpsは日常的な監視業務や初動対応の効率化に効果を発揮していることがうかがえる。
AIの誤動作による影響を抑えるための仕組みについては、67.3%が導入済みと回答した。一方、AIOpsまたはAIによる運用自動化の導入後にAIの誤検知や誤動作を経験したことがあるかどうかを尋ねたところ、「よくある」(25.5%)と「ときどきある」(40.9%)を合わせて66.4%に上った。誤動作対策を進める企業が多い一方で、誤検知や誤動作を経験している担当者も少なくないことが分かった。
誤検知・誤動作を経験した担当者に対応方法を尋ねたところ、「AIが実行した結果を事後的に検証している」(64.4%)、「その都度、手動で停止・修正している」(63.0%)、「AIの実行前に人が内容を確認している」(61.6%)がいずれも6割を超えた。AIの判断をそのまま受け入れるのではなく、人による確認や修正を組み合わせながら運用している実態がうかがえる。
誤検知・誤動作を経験した担当者に、その対応負担を尋ねたところ、「非常に負担になっている」(35.6%)と「やや負担になっている」(53.4%)を合わせて89.0%に達した。AIによる運用自動化が業務負荷の軽減につながる一方で、誤動作への対応が新たな負担となっている実態が浮き彫りになった。
AIに業務を任せることへの心理的抵抗については、「強く感じる」(19.1%)と「やや感じる」(41.8%)を合わせて60.9%に上った。業務負荷の軽減効果を実感する担当者が多い一方で、AIによる自動化を全面的に信頼するまでには至っていないことがうかがえる。
AIに業務を任せることに抵抗を感じる理由として最も多かったのは、「誤動作が起きた時に誰が責任を取るのか不明確だから」(68.7%)だった。これに「どのような根拠でAIが判断したのか分からないから」(55.2%)や、「AIの動作を人間が制御できなくなりそうだから」(53.7%)が続いた。責任の所在や判断根拠の不透明さが、AIへの信頼を妨げる要因になっていることがうかがえる。
今回の調査では、AIOpsやAIによる運用自動化によって業務負荷の軽減を実感する企業が多い一方で、誤検知や誤動作への対応が新たな運用負荷になっている実態が明らかになった。また、AIの判断根拠や責任の所在に対する不安から、業務を任せることに心理的な抵抗を感じる担当者も少なくない。今後はAIの精度向上に加え、人による確認や責任分担をどのように設計するかが、AIOps活用を進める上で重要になりそうだ。
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