デバッグでもテストでもない、ゲームエンジニアが考える「AIには奪われない役割」は?:ゲームエンジニア1000人超に聞いた
ゲーム開発でAI活用が広がる中、ゲームエンジニアはAIとの役割分担をどう考えているのか。Hiraku agentの調査では、ゲームエンジニアがAIに代替されると考える業務と、代替されないと考えるスキルが明らかになった。
ゲーム業界に特化した転職エージェントサービスを展開するHiraku agentは2026年5月20日、「AI時代におけるゲームエンジニアの非代替スキルとキャリア選択」に関する調査結果を発表した。調査は2026年4月に、業務でAIを活用しているゲームエンジニア1010人を対象にインターネットで実施した。
「ChatGPT」「GitHub Copilot」といった生成AIツールによるコーディング支援やテストプレイの自動化など、ゲーム開発の現場ではAIの導入が急速に進んでいる。AI活用の拡大を受けて、ゲームエンジニアは自身のキャリアや市場価値をどのように捉えているのか――。それを探るために調査を実施したとHiraku agentは説明する。
調査では、業務でAIをどの程度活用しているかを聞いたところ、「毎日」が49.3%で最も多かった。「週に数回」が43.1%で続いた。
5年以内にAIに代替される業務と「AIに奪われない役割」
AIによって代替されると考える業務と、AIには代替されない(人にしかできない)と考えるスキルも聞いた。今後5年以内にAIに代替されると思う業務を尋ねたところ、「単純なバグの特定・修正(デバッグ作業)」が37.7%で最も多かった(図1)。「テストコードの作成や自動テストの実行」が34.1%、「仕様書や技術ドキュメントの作成・更新」が33.5%で続いた。
人にしかできないと考えるスキルを尋ねると、「リーダーシップ・チームマネジメント力」が33.1%で最多となった(図2)。次いで「著作権やセキュリティリスクを考慮できる倫理的な判断力」(31.5%)、「コミュニケーション能力・協調性」(30.5%)が挙がった。
デバッグやテストなどの定型的な開発作業でAIの活用が進む一方、AIの出力には誤情報や権利侵害のリスクが残る。成果物の品質や信頼性を確保するために、AIの生成物が安全かつ実用に耐えるかどうかを最終的に検証することは、人のエンジニアが担うべき役割として今後も残るとHiraku agentはみる。
キャリアプランにおいてAIをどのように位置付けているかを尋ねたところ、「AIエンジニアなど、新たなキャリアパスを開く『可能性のある領域』」が44.5%で最も多かった。次いで「日々の業務を効率化するための『便利な補助ツール』」(25.2%)、「自身の市場価値やスキルを高めるための『武器』」(24.0%)が挙がった。
9割が転職先に「AI活用への積極性」を求める
今後のキャリア形成に関連して、転職先企業のAI活用への積極性をどの程度重視するかを尋ねたところ、「非常に重視する」が34.5%、「ある程度重視する」が56.3%という結果になった(図3)。約9割が、転職先企業のAI活用への積極性を重視している。
「非常に重視する」「ある程度重視する」と回答した人にその理由を尋ねると、「古い手法に縛られず、最新の開発環境で働きたいから」が57.5%で最も多かった。「単純作業をAIに任せ、ゲーム開発の本質的な業務に集中したいから」(44.3%)、「最新のAIを活用し、自身のスキルや市場価値を高めたいから」(38.7%)が続いた。
最前線で活躍するゲームエンジニアにとって、最新技術を実務で活用できないことは、市場価値の低下につながるリスクになるとHiraku agentは指摘する。開発環境のアップデートが遅れている企業は、優秀な人材の確保が難しくなる可能性があるという。
企業が採用競争力を維持するには、AIをコスト削減の手段として導入するだけでは不十分だというのが、Hiraku agentの見方だ。企業にとって必要なのは、ゲームエンジニアが定型作業以外の本質的な業務やマネジメントに従事しやすくするための、開発環境の整備だという。AIを取り巻く環境の変化に応じて組織をアップデートし続けることが、人材の定着や企業の持続的な成長に欠かせない要素になると同社はみる。
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