日本企業のAI投資「成果あり」はわずか13% アクセンチュアが指摘する“人任せ”の限界:調査で見えた「世界との差」
アクセンチュアの調査によれば、日本企業の78%がAI投資拡大に意欲を示す一方、全社的な成果を実感する企業は13%にとどまり、世界平均を大きく下回っている。何が足りていないのか。
コンサルティング会社のアクセンチュアは2026年8月19日、世界20カ国を対象に実施した事業環境についての調査レポート「Pulse of Change」の結果を公開。日本企業の多くがAI(人工知能)への投資を急速に拡大している一方で、「全社的なビジネス成果」や「現場の生産性・満足度」に結び付けられている企業の割合は、世界水準を大きく下回っている実態が明らかになった。日本企業のAI投資が、現場の成果や満足度につながっていない背景には何があるのか。
投資意欲は世界水準も「成果あり」は13%にとどまる
今後12カ月間でAIへの投資を拡大すると回答した日本の経営層は78%に達した。グローバル平均の82%とほぼ同水準であり、日本企業における投資意欲の高さを示している。
しかし、AI活用によって全社的かつ持続的なビジネス成果を「すでに実現できている」と回答した日本の経営層は13%にとどまった。グローバル平均の23%と10ポイントの差が付いている。
AIの導入効果に対する現場の実感も、世界とは大きく異なっている。「AIによって生産性が向上した」と回答した日本の従業員は57%で、グローバル平均の81%を大幅に下回った。「特に変化はない」とした日本の従業員は37%に上る。
AIツールの導入後に仕事の満足度が高まったと感じている日本の従業員は48%で、グローバル平均の71%と比べて23ポイントの開きが出ている。
こうして生産性や満足度が上がらない背景には、教育の不足もあると考えられる。スキル習得について「企業によるリスキリング(学び直し)には頼れず、自力で行う必要がある」と回答した日本の従業員は50%に達し、グローバル平均の45%を上回った。従業員が組織的な支援を受けられず、自助努力に依存している状況が見て取れる。
アクセンチュアの執行役員でLead - Talent, Japanを務める本徳亜矢子氏は、AI投資を持続的な成果へと結び付けるには、「人の役割や仕事、組織の在り方までを変えていく必要がある」と指摘。人・AI・ビジネスが相互作用する仕組みを構築する上では、「従業員一人一人の自助努力に委ねるのではなく、学びや役割転換を支える環境を企業側が整えることが必要」だとしている。
AI人材の獲得・育成に悩む経営層は64%、若手採用の意欲に開き
人材・組織戦略の面でも課題が顕在化している。AIを使いこなせる人材の獲得や育成に「難しさを感じている」と回答した日本の経営層は64%だった。グローバル平均では62%で、国内外で共通の経営課題となっている。
「若手人材(エントリーレベル職種)に求められるスキルが変化する」と考える経営層は、日本で87%、グローバル平均で85%だった。共に高い割合となったが、対応策では差が出ている。「AI活用を前提とした新たな若手向け職種を創出する可能性が高い」とした経営層は、グローバル平均の73%に対し、日本は60%にとどまった。若手人材の採用を増やす意向を示した経営層も、日本では41%で、グローバル平均の52%よりも11ポイント低い結果となった。
アクセンチュアの常務執行役員でLead - AI and Data、AIセンター長を務める保科学世氏は、日本における成果の実感が世界水準を大きく下回っている背景について、「技術の優劣ではなく『技術を人と組織にどう組み込むか』の差にある」と指摘。「AI投資を成果に変える鍵は、システム・業務・人という3つの要素を一気通貫で動かし、中でも人の判断と創造性が生きる場所を意図的に設計し直すことにある」としている。
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