VPN通信は「必ずしも最速ルートを通らない」 速度を70%改善できたベンダーは何を変えた?:インターネットの「経路選択」に潜む意外な仕組み
複雑に張り巡らされたケーブルを経由するインターネットの通信は、必ずしもいつも最適な経路を選んでいるとは限らない。VPNベンダーSurfsharkは、その経路選択においてインターネット速度を最大70%向上させる技術を導入したという。
インターネット上の通信は、世界中にケーブルが張り巡らされた複雑なネットワークを経由する。その接続は、いつでも効率的な経路を通っているとは限らない。これに対してVPN(仮想プライベートネットワーク)ベンダーSurfsharkは2026年7月30日、ユーザーのトラフィック経路を最適化する技術を、VPNサーバ拠点の半数以上に導入したと発表した。
これにより、「macOS」ユーザーのインターネット速度を最大70%向上させることが可能だとしている。どのような技術が使われているのだろうか。
VPN通信は「いつも最速」とは限らない? 最適な経路選択の技術とは
インターネットのトラフィックは比較的単純な経路をたどっていると考えている人もいるだろう。通常はインターネット接続を担う事業者であるISP(インターネットサービスプロバイダー)に経路選択を任せておけば、その通信はパフォーマンスを最大化するよう、自動的に最適な経路が選択されると考えられがちだ。
だがSurfsharkが実施した変更から分かることは、インターネットのトラフィックはそう単純ではないということだ。
実際には、インターネット上のデータは世界規模でつながった複雑なネットワークで運ばれる。地上や海底に敷設されたケーブルなどさまざまな通信インフラを経由する。その経路の選択では、必ずしも物理的に最短の経路のパフォーマンスが最も効率的になるとは限らない。
ISPはコストに基づいて経路を選ぶ傾向があるため、最も速い経路ではなく、最も経済的な経路を選択する場合があるとSurfsharkは指摘している。
Surfsharkが導入している「FastTrack」という技術は、同社のVPNサーバネットワーク内で通信経路を最適化する技術だ。同社のシステムエンジニアリーダーであるカロリス・カチュリス(Karolis Kaciulis)氏は、ユーザーの地理的な位置にかかわらず、可能な限り最良の経路を経由するようにしていると説明する。
例えばより高度なルーターや大容量ケーブルが使用されているといった好条件の場合、より距離が長くてもパフォーマンスが高くなるのであれば、FastTrackはその経路を選択する。
Surfsharkは世界各地に検査のためのプローブシステムを配置しており、同社のVPNサーバネットワーク内で利用できる経路を継続的にテストしている。その結果を基に最適だと考えられる経路へトラフィックを振り分けることで、一貫して選択したロケーションへの通信速度を最大70%向上させることができるという。
テストで平均77%改善、だが個別には23〜193%のばらつきも
以前は3カ所の拠点でのみFastTrackの技術を利用可能だったが、好評だったことから同じ機能を同社のサーバ拠点の大半に導入し、経路のさらなる最適化を図ることにしたという。
どの経路が最も高いパフォーマンスを発揮するかは、常に一定ではない。経路の混雑や障害によってパフォーマンスが低下することもあれば、新たに利用可能になった経路があまり使用されておらず、低遅延でつながる場合もあるという。そうした状況を常に見ながら、パフォーマンスの高い経路を探索する仕組みとしている。
Surfsharkではその改善効果を検証するため、4週間にわたり32のネットワーク経路を対象に計612回のテストを実施した。標準的な直接接続と、FastTrackによって最適化したマルチホップ構成を比較したところ、通信速度は平均77%向上した。経路ごとの改善率には23〜193%の幅があったという。
このばらつきについて、同社はインターネット上の経路やその通信状況が絶えず変化しているためだと説明している。
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