関電工が“AIありき”から脱却し、「1〜2週間→数十分」に工事費計算を高速化 その方法は?:PoCを2回実施しても成果を得られず、発想を転換
AIを使えば積算業務を効率化できる――。2回のPoCを実施しても成果を得られなかった関電工は、発想を転換した。たどり着いたのは「AIだけに頼らない」という考え方だ。どう具現化したのか。
関電工は、建築設備の工事やリニューアルを手掛ける総合設備企業だ。2030年の「データドリブン経営」実現を掲げ、データの蓄積・活用による意思決定の高度化や、先進技術を活用した業務プロセスの変革に取り組んでいる。
その一環として、関電工は設備工事の積算業務でのAI活用を試みていた。積算は、工事に必要な項目や金額を算出し、工事費を見積もる業務だ。従来は手作業が中心で担当部門に負担がかかっており、得意先への見積もり提出まで1〜2週間を要していた。積算は経験豊富な従業員に依存しがちな業務であり、こうした従業員の定年退職を前に属人化を解消する必要があった。
“AIありき”じゃ駄目 関電工がたどり着いた解と、その具現化策とは
関電工は、AI関連サービス事業者とともに2回のPoC(概念実証)を実施した。だが思うような成果を得られなかったことを受け、AIの活用方法を見直すことにした。その結果、概算金額の算出に要する作業時間を大幅に短縮するといった成果につながったという。同社は具体的に何をしたのか。
PoCで思うような成果を得られなかったことを受け、関電工はITコンサルティングを手掛けるULSコンサルティングに、設備工事の積算業務のシステム化について相談した。ULSコンサルティングは関電工の既存データを分析し、現時点でAIに正確な積算をさせるのは難しいと判断。AIによる確率的な処理と、ロジックによるルールベースの処理を組み合わせる方法を提案した。
具体的には、過去の類似案件の呼び出しや各工事項目の金額算出については、AIではなくロジックで処理する。一方で自然言語からの情報抽出や、得意先ごとに異なる用語・書式を扱う処理などにはAIを活用する。将来的にAIによる積算を可能にするためのデータ整備を進めながら、現時点ではAIが得意な処理に用途を絞り、早期に業務上の成果につなげるのが狙いだ。
システム開発にはアジャイル方式を採用した。まずプロトタイプを作成して関電工とULSコンサルティングの間で利用イメージや積算精度について認識をそろえ、現場からのフィードバックを反映しながらシステムを構築した。開発期間は約1年半に及んだ。
概算金額の算出を「1〜2週間」から「数十分」に
完成した「自動項目概算システム」では、算出手法の80〜90%に従来の手作業を踏襲したロジックを採用した。これにより概算金額の算出に要する作業時間を、従来の1〜2週間から数十分程度に短縮し、得意先への見積もり提示を早められたという。
今回の取り組みでは、ULSコンサルティングを軸に、IT、積算実務、技術開発研究所、営業といった複数部署のノウハウや知見を結集したという。今後は自動項目概算システムの速度や精度の向上に加えて、既存システムとのデータ連携を進める考えだ。ULSコンサルティングが2026年7月30日に、本事例を発表した。
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