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資生堂ジャパンが挑む「多少情緒的」なAIトランスフォーメーションって何だ?(2/3 ページ)

資生堂ジャパンが全社的なAIトランスフォーメーションに取り組んでいる。情緒的、右脳的な要素を重視し、トップダウンでもボトムアップでもないサンドウィッチ型推進体制を採用。130名のアンバサダーが「失敗しないAIの業務活用」を進めている。

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サンドイッチ型体制と130名のアンバサダーが導く“日常化”

 ツールの導入における最大の障壁は、現場への配布だけで終わる形骸化である。優れたシステムを開発しても、現場の主体的な関与がなければ、実務には定着しない。資生堂はこの失敗を回避するため、約1年間の準備期間を設けて丁寧な仕込みを行った。

 AI活用促進プロジェクトの実行責任者としてプロジェクトに携わる菊池氏は、「トランスフォーメーションには、共感とコミットメントが必要不可欠」だと述べる。このプロジェクトにおいてはまず2025年春に経営層を対象としたワークショップを開始し、変革の方向性を共有することからスタートした。夏から秋にかけては各実務領域で技術検証を重ね、現場の武器になるという手応えを掴む。その後、2026年に入り40部門全ての責任者一人一人と個別に対話を重ね、各部門の業務に合わせた活用方法を議論した。


変革を実現するためのロードマップ

 この対話プロセスを経て、同社は独自の「サンドイッチ型推進体制」を構築した。菊池氏はこれを「上からの指示だけで動かすトップダウンでもなければ、現場がバラバラに走るボトムアップでもない。経営リーダーの強い意志と、現場の熱量が真ん中でがっちりと噛み合う構造」と説明する。

 新体制の要となるのが、各現場から選出された130名の「アンバサダー」である。彼らは自部門の業務知識と技術の架け橋となり、実務における具体的な活用案を自ら考案して伝播させる役割を担う。

 アンバサダーに対して、実務に特化したハンズオン研修を2026年4月から開始、その回数は100回以上に達した。社内報やリーダーによる動画配信、活発なコミュニティー形成など、多様なアプローチで現場の関心を維持し続け、一過性のイベントで終わらせない仕組みが作られた。


信頼できるアンバサダーを選出し、トップダウンでもボトムアップでもない「サンドイッチ型体制」を作る

 このプロジェクトにより、現場の利用状況を示す成果データには顕著な変化が現れた。資生堂が導入した生成AI環境における月間アクティブ率は82.4%に達し、3日に1回以上の高頻度で実務に利用している社員の比率は42.0%を記録した。これは、特定の愛好者だけでなく、全社員がTeamsやOutlookを扱うのと同様のレベルで日常的に技術を活用していることを示している。

 “日常化”の成功を基に、次の段階である現場主導の組織的な生産性向上へと進める。営業領域では、情報の検索や確認に費やす時間を短縮するため、ノーコードの検索システムを試験導入した。散逸していた社内資料を瞬時に見つけ出す仕組みにより、従来の資料探索時間を約67%削減できる見込みも立ったという。


現場では文化が変わり、PoCも成果を上げつつある

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