富士通では「Copilot」10万ライセンスの利用率が“9割超え” 「導入したけど使われない」をどう防いだ?:AI活用を全社に定着させるには、何が必要なのか
全社にAIを導入しても、実際に使われなければ効果は生まれない。「Microsoft 365 Copilot」を社内導入した富士通は、どのようにしてAI活用を全社に定着させ、日常業務の変革につなげたのか。
2026年5月に発表した「中長期経営ビジョン2035」で、データとAIを事業成長の中核に据えた富士通。自社が最初のユーザーとなってAI主導の経営を実践し、その知見で顧客の変革を先導する「Customer Zero」(カスタマーゼロ)戦略を掲げる。
課題は、導入したAIの活用を、国内外の全従業員に浸透させることだった。一部の従業員だけがAIを使っても活用シーンが限られ、効果を最大化できないと判断したからだ。全従業員が日常的にAIを使う状態にして、個人の生産性向上にとどまらない業務プロセスの変革につなげる必要があると、富士通は考えていた。
「導入したAIが使われない」を防ぐために、富士通が打った手とは?
こうした中、富士通は全社でのAI利用を促す仕組みを整えつつ、Microsoftの生成AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の全社導入を進めた。その結果、利用率を高い状態で維持し、業務効率化といった具体的な成果も現れているという。どのように全社への導入と活用を進めたのか。
富士通は2025年7月、全社の各部門を対象にMicrosoft 365 Copilotを7500ライセンス導入し、集中トライアルを実施した。その結果を踏まえて、2026年1月に3万ライセンス規模に拡大。同年4月には、ほぼ全従業員向けの約10万ライセンスを本格導入した。
全社展開では「フジトラ」(Fujitsu Transformation)で築いた推進体制を活用した。フジトラは、経営層から現場従業員まで全従業員が参加する社内DX(デジタルトランスフォーメーション)活動だ。
全社でのAI実践を進める部門横断の活動「全社AI実践イニシアティブ」も立ち上げた。トライアル中にはハンズオンセミナーやトレーニング動画を用意し、習熟度に応じてMicrosoft 365 Copilotの使い方を学べるようにした。
個人利用にとどまらないAI活用を促すために、業務システムの改善に関する「AI & DDM Award」(DDM:データドリブン経営)や、AIエージェントの活用に関する「鉄板エージェント コンテスト」といった、優れた取り組みを表彰する社内コンテストを定期的に開催してきた。
富士通がMicrosoft 365 Copilotを選んだのは、「Microsoft Teams」「Microsoft Outlook」など、社内で使ってきたMicrosoftツールでそのまま使えるAIツールであり、日常業務で活用しやすいと判断したからだ。7500ライセンスという大規模なトライアルも、議事録や資料の作成などさまざまな業務シーンで使うことで、早期に効果を最大化する狙いがあった。
利用率は90%以上を維持、サービスデスク業務でプロセスの7割超を自動化
導入から2カ月後の2026年6月の時点でも、Microsoft 365 Copilotの利用率は全社で90%以上を維持していた。社内サービスデスク業務では、従業員からの問い合わせに対して、AIエージェントが一次対処や問い合わせ内容の精査を担うことで、年間約30万件の問い合わせプロセスのうち、約75%を自動化できたという。
AIによる自動化で、担当者はより付加価値の高い業務に取り組めるようになった。AIエージェントの回答の基になるFAQ(よくある質問とその答え)や手順書などのナレッジの内容改善や、AIエージェントの回答精度の向上などだ。
富士通はMicrosoft 365 Copilotを起点に、業務特化AIエージェントや業務システムを組み合わせて利用できる「マルチエージェントシステム」の実現を目指す。日本マイクロソフトは2026年9月4日、本事例を公開した。
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