Database Watch 11月版 Page 1/2
祝! 正式リリース
MySQL 5.0/PostgreSQL 8.1
加山恵美
2005/11/16
先日「Oracle Grid Day」に出掛けてきました。地図で最寄りが赤坂見附駅と見たため、つい日本オラクル本社のあるビルに向かってしまいました。しかし玄関にはイベントの看板がまるでなく、慌てて案内を見直すと会場はお向かいのビルでした。
■グリッドを実現するOracle Database 10g Release 2の威力
Oracle Grid Dayであらためて「Oracle Database 10g Release 2(10.2.0)」(以下、R2)に接することができました。R2はオラクルが掲げるように「グリッド・コンピューティングを支える統合基盤」として進化を遂げています。今回は数ある新機能の中から代表的な項目を見ていきます。
まずは規模を拡大する機能拡張から。1つの「RAC(Oracle Real Application Clusters)」でサポートするインスタンス数が1055まで、また「Oracle Clusterware」がサポートするノード数が従来の63から100まで拡張されました。これでより大規模なグリッド環境を構築できるようになります。このグリッド環境にすると、データ共有を簡素化する機能が利用できます。例えばファイル・グループ・レポジトリ機能は、ある時点でのデータベース構成ファイルのコピーを管理します。また自動ストレージ管理(ASM)は、R2から異なるデータベース・リソースをサポート可能となります。データベース・インスタンスとは別にASMインスタンスを管理できるようになったためです。
次に可用性の向上です。データの保護やリカバリに働く「Oracle Data Guard」が強力になりました。R2からはプライマリ・サーバ(またはサイト)に障害が発生するとOracle Data Guardは自動的にスタンバイ・データベースにフェイルオーバーすることができます。これをファスト・スタート・フェイルオーバーといいます。またデータベース・トランスポートによりデータ転送を高速かつ容易にできるようになります。Oracle Data Pumpでも同じことが可能ですが、より効率的に処理できるようになっています。
クラスタもより高性能になりました。RAC 10gではロード・バランシング・アドバイザが負荷を監視しています。どこかで負荷が高まると高速アプリケーション通知(FAN)イベントが生成され、ルーティング調整により負荷の均衡を図るようにできています。またクラスタの可用性や整合性を検証するクラスタ検証ユーティリティ(CVU)を用いると、問題の素早い発見に役立ちます。このツールにはデータベース管理者が使用するスタンドアロンのツールと、環境構築時に自動的に起動するツールの2種類があります。
ビジネスインテリジェンスに関係して大規模データベース(VLDB)への対応もなされています。R2では新しいアルゴリズムを実装し、SQLのソートや集計パフォーマンスが向上しています。最大パーティション数が増え、より細かくパーティション化オブジェクトを定義できるようになります。またパーティション表の削除(DROP TABLE)をPURGEモードで実行した場合に操作が内部で並列化されるため、ほかの処理にあまり影響を与えずに済みます。さらにマイニング・エンジンがデータベースに実装され、大量のデータを分析する能力が高まりました。分類、回帰、属性評価、異常検出、相関分析、クラスタリング、特徴抽出など多様なマイニング・アルゴリズムが提供されています。
ほかにもオープンスタンダードへの対応として、R2の「Oracle XML DB」ではSQL:2003標準にあるSQL/XML仕様に準拠、XQueryのネイティブ実装や、XPathリライトが拡張されXMLへの対応でより一歩前進しました。またUnicode 4.0のサポート、JDBC 3.0のサポート、Linux/SolarisでのODBCドライバのサポートが挙げられます。
■管理ツールも進化、Oracle Enterprise Manager
さて大規模で高機能になると心配になるのが運用管理です。Oracle Grid Dayのセッションで引用されたガートナー社の調査によると、ITへの年間投資額の実に80%が維持・運用に費やされているとありました。特に障害の防止や復旧を行う監視業務の負荷は、管理するマシン台数が増えれば増えるほどより深刻になります。そこで規模が大きくてもグリッド環境全体で最適化して効率的に管理できるようにと「Oracle Enterprise Manager(OEM)」も大きく進化しました。
オラクルは基調講演でこれまで9人月かかっていたパフォーマンス劣化の解決工数をR2のOEMでわずか10分程度まで短縮できるとアピールしました。パフォーマンス劣化の原因を特定することは熟練したエンジニアでも難しいとされています。調べることが多岐にわたり、複雑で手間がかかるからです。(次ページへ続く)
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1 ・グリッドを実現するOracle Database 10g Release 2の威力 ・管理ツールも進化、Oracle Enterprise Manager |
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Page 2 ・MySQL 5.0正式版リリース ・PostgreSQL 8.1も正式リリース |
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