Database Watch 4月版 Page 1/2
DBエンジニアに必須の情報源をアップデート
加山恵美
2006/4/15
今年の花見は楽しめましたか。いよいよ新しい年度が始まりました。新たにIT業界やIT関連部署に配属された方もいらっしゃるかと思います。今月は心機一転、データベース業界をあらためて見渡してみます。
■データベースとは貯蔵庫か鍋か?
今回は漠然とした例え話から。よく想像してみるのですが、ITを料理に例えたらデータは食材といえるのではないでしょうか。肉、魚、野菜など食材のない料理が考えられないように、データのないシステムは考えられません。料理では切る、焼く、煮る、時にはチンするなど、食材を加工して人間が食べやすいものへと変化させます。こうした料理はITではシステムとなるのかもしれません。データを検索する、抽出する、加工するなど。
ではデータベースとは何になるかと考えます。データを蓄積する機能を考えれば貯蔵庫でしょうか。収容力が大きく強靱(きょうじん)で難攻不落、なんてものであれば大切な食材を守る偉大な貯蔵庫となりそうです。しかしデータベースはデータを蓄積するだけではなくデータを加工する機能も担います。ということは料理器具でしょうか。
そう考えるとデータベースの世界を観測するということは、料理の世界なら貯蔵庫から料理器具まで見渡すということであり、実はこの連載はけっこう大胆ではないかと思うことがあります。
ただし調理器具は道具ですから料理の主役にはなりません。やはり「こんなものが食べたいなあ」と注文するお客さんがいて、「では食べさせてあげましょう」と料理するシェフがいて、こうした登場人物らが主役になるのだと思います。だからRDBMS(Relational DataBase Management System)は主役を支える脇役にすぎないのですね。
しかし芸術の域に達する絶品から普段の空腹を満たすための一皿まで、料理を作るには道具は欠かせません。こんなことをぼんやりと考えながらデータベースの世界がどう動いているのか伝えていこうと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
■バージョンアップが続いた昨年
例え話はこれくらいにして、本題に入りましょう。データベースはそれこそもう山ほどあります。この連載では特にRDBMSに焦点を絞っていきます。RDBMSはより本格的なデータベース製品群です。表計算ソフトだと1つのワークシート当たりの行数が限られているなど制限がありますが、RDBMSですとかなり無尽蔵にデータが扱えるようになります。
またRDBMSは商用製品とオープンソースがあり、どちらにもご三家がいます。目立つ有力な3つの陣営が火花を散らしながら争い、また時にはまったりと仲良く情報交換をしている光景も見られます。昨年は商用もオープンソースも歴史的なバージョンアップが立て続けに起こり、大きく飛躍した年でした。今年は一段落つき、新しいバージョンをどう活用していくかが重要となりそうです。
■いつも火花を散らす商用ご三家
まずは商用RDBMSから紹介していきましょう。まずはオラクルから。オラクルはグリッド・コンピューティングを基盤としたOracle Databaseがあります。最新版はOracle Database 10g R2です。先月のOracle OpenWorld Tokyo 2006で発表された企業内のコンテンツを安全に検索するためのOracle Secure Enterprise Search 10g(Oracle SES 10g R2)は、4月12日から出荷開始となりました。4月20〜21日に開催される「Search Engine Strategies Conference& Expo 2006 Japan」ではOracle SESの特別講演「ついに登場!イントラネット向け検索ソリューション:Oracle Secure Enterprise Search 10g」(4月21日14:10〜)で詳しい解説が行われます。
- Search Engine Strategies Conference & Expo
2006 Japan
期間:2006年4月20日(木)〜21日(金)
場所:東京ファッションタウン(東京都江東区有明)
次にIBMです。IBMは多様なソフトウェアを抱えていますが、中でも情報管理のカテゴリで柱となるのがDB2 Universal Database(DB2 UDB)です。最新版はV8ですが、発表から2年が過ぎて次期版の姿が少しずつ見えてきました。次期版のコードネームは「DB2 Viper」で、XMLサポートに力が入っているようです。今年中にお目見えするでしょうか。
マイクロソフトも忘れてはなりません。マイクロソフトが抱えるRDBMSはSQL Serverです。昨年は満を持して最新版SQL Server 2005を発表し、いま着々と技術情報が充実してきています。SQL Server Journalも登場し、最新情報を効率よく入手できるようになりそうです。
最近の商用RDBMSの世界では2種類の熱い戦いが繰り広げられています。まず1つが移行合戦です。昨年オラクルとマイクロソフトがメジャーバージョンアップを達成したせいか、それを機会に競合他社製品を利用している顧客を獲得しようとさまざまなキャンペーンが繰り広げられています。
もう1つが無償版合戦です。商用RDBMSの無償版は「Express」という名が目印です。無償版だと機能が限定的になりますが、最初の敷居を下げることが目的となっているようです。IBMではDB2 Express-C、マイクロソフトではSQL Server 2005 Express Edition、オラクルはまだベータ版ですがOracle Database 10g Express Editionがあります。どれも最新版の製品を基に無償版が提供されています。
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