Database Watch 10月版 Page 1/2
XMLデータベース、第2次黄金期の予感
加山恵美
2006/10/14
これまでもXMLデータベースは話題にしてきましたが、2006年はXMLデータベース関係の話題をよく耳にします。今後データベースはどのようなXML機能を持つかが鍵になってきそうです。
■2006年はW3CでXMLの基本仕様に動きが
XMLデータベースの話の前に、2006年のW3CのXML動向を少し振り返ることにします。2006年は基本的な技術仕様に動きがありました。8月にはXMLの根幹となるXML 1.0 第4版や名前空間 1.0 第2版が勧告になりました。これらはバージョンではなくエディションの更新なので細かな修正や改良にすぎませんが、完成度を高めるための努力が継続されていることは記憶にとどめておきたいところです。
一方、主要な仕様で新バージョンが近づいているものもあります。6月にはXSLT 2.0やXPath 2.0に関連した一連の仕様が勧告候補として発表になりました。大ざっぱにいうとXSLTはXML文書の変換を行う技術仕様で、XPathはXML文書内のデータを特定するための技術仕様です。
またこれらと同時にXPathを拡張したXQuery 1.0も勧告候補となっています。XQueryはいわばXMLのSQLのようなもので、XMLデータベースでは鍵となる技術仕様です。まだ勧告として完成する前ではありますが、最近発表になったXMLデータベース製品ではすでに実装に踏み切ったものも出てきています。
ほかにもW3Cを見るとXSL 1.1やXLink 1.1などの基本的な仕様からWebサービスに関係するWSDLまで、幅広く精力的に技術仕様を発表しています。過去数年はオントロジーやセマンティックなどより応用的な分野の開発が目立ちましたが、2006年は特に基礎的な分野の整備に力が入っているようです。
ここでXMLのデータについても振り返っておきましょう。2000年前後、当初のXMLデータはBtoBやeコマースの後押しもあり、トランザクション系の揮発性の高いデータで採用されることが多くありました。これは送信元システムから出るときに生成され、送信先システムに吸い込まれれば消滅するという短命なデータという意味です。
しかし近年ではApache ANTやXULなどの開発や、RSSやOpenOfficeなどの実務での利用も増えてきました。次第にデータサイズは増加し、また永続的なデータへと変わってきました。身近な例で考えれば、ブログの台頭も大量かつ永続的なXML文書を扱う必要性を高める要因として考えられるでしょう。こうした背景などがあり、最近ではXMLデータベースが再び注目を浴びてきています。また必要な機能も数年前と比べて変化してきています。
■XMLコンソーシアムがXMLDBセミナー開催
さる10月4日、XMLコンソーシアムはXMLDB(データベース)セミナーおよび勉強会を開催しました。「急拡大するXMLデータベース市場を展望し、機能強化が進む製品を知る」と題し、XMLデータベースの市場動向とXQueryの解説、および各種のXMLデータベース製品の紹介を行いました。
XMLデータベースが近年再び脚光を浴びているのは先に述べたとおりですが、XMLデータベースのこれまでの動きについても振り返ってみましょう。XML 1.0が登場して数年後にはXMLデータベースという製品カテゴリは存在しました。1999年から現在まで多様な製品が発表されています。
図 充実するXMLDBの選択肢 (XMLコンソーシアムセミナー「XMLDBの必要性/市場性について」より) |
XMLデータベースとはXML文書を扱えるデータベースですが、大まかに分けて3通りあります。XML文書をそのまま蓄積できるタイプをネイティブXMLデータベース、XML文書を解析して必要なデータをRDBMSの表にマッピングして格納するものをXMLも利用可能なリレーショナル・データベース、XML文書をツリー構造のままRDBMSに格納できるものをハイブリッドなXMLデータベースと呼びます。
特に最近ではネイティブXMLデータベースやハイブリッドなXMLデータベースが注目を浴びています。利用者にとってXMLのタグやツリー形式を保持する必要性は、データが非定型であったりデータ構造が頻繁に変化する場合が多いようです。
いまXMLデータベースを見渡してみると、それぞれ機能や特徴が多岐に分かれています。商用やオープンソース、ネイティブやハイブリッド、またITソフトウェア製品にしては珍しく、国産もそろっています。
表 充実するXMLDBの選択肢 (XMLコンソーシアムセミナー「XMLDBの必要性/市場性について」より) |
ただし、いまのところ「XMLデータベースといえばコレだ」といえる決定打となる製品や、「これならXMLは何でもOK」といえるような万能な製品はまだないようです。そのため選ぶ側は、用途や必要性を分析したうえで適切なものを選択しなくてはなりません。
選ぶときの基準としては、まずXMLスキーマやDTDが必要かどうかといった、XML文書の構造上の制約があります。また性能として何を重視するか。データの登録、更新、検索、スキーマの追加や変更、データ量の増加に伴い性能に変化が起きる場合もあるので、これらの中から何を特に重視するかです。さらにXQueryの実装具合も現時点では採用の判断を分ける要素になりそうです。
まだまだXMLデータベースの世界では覇者がいない状態です。この先それぞれが個性を伸ばしていくのか、または万能なものが登場するのか分かりません。しかし少なくともXML文書を扱う必要性は確実に高まっているようです。
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連載 Database Watch 10月版 XMLデータベース、第2次黄金期の予感 |
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1 ・2006年はW3CでXMLの基本仕様に動きが ・XMLコンソーシアムがXMLDBセミナー開催 |
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