Database Watch 8月版 Page 1/2
Oracle Database 11gはどこが新しくなったのか
加山恵美
2007/8/16
8月後半以降に予定されている「Oracle Database 11g」のリリースをはじめとして各種イベントがありますが、いまはそれを待っている状態です。その間に7月の11gローンチイベントの内容を振り返ってみましょう。
■オラクル創業30周年のコンセプトは「変革の加速」
米オラクルは7月11日(現地時間)ニューヨークで開催した「Oracle Database 11g Launch」イベントにて、Oracle Database 11gを発表しました。今回はここで米オラクルが発表した11gの新機能についてお伝えします。
イベントは久々のメジャーバージョンアップにふさわしく、盛大なものでした。11gは400を超える新機能を搭載し、延べ1500万時間のテストおよび延べ3万6000人月の開発を経ており、オラクルにとって創業30周年という記念すべき年に満を持して発表する仕上がりになっているようです。
なお11gに「g」とあるように、技術の要にはグリッドがあります。この「g」は10gから付くようになりました。当時はまだコンセプトの域だったかもしれませんが、オラクルのグリッド技術は10g Release 2を経て成熟してきたようです。
オラクルは11gにて「顧客のビジネス変革を加速する」ことに主眼を置いています。実際に11gでは顧客から要望の高い機能を重点的に搭載するなど、いま顧客が抱える問題を注意深く分析して必要な機能や性能強化を進めてきたといいます。
■さらなる可用性向上へ
具体的にはどう飛躍するのでしょうか。オラクルは「特筆すべき3つの新機能」として以下を挙げています。
- Automatic SQL Tuning(SQLチューニングの自動化)
- Partition Advisors(パーティション最適化の提案)
- Oracle Real Application Testing(アプリケーションテスト)
まず上の2つです。これらはパフォーマンスに好影響を与えます。パーティションを考えてみましょう。もしデータベースのデータを増加するまま放置すると、管理が困難かつコスト高になります。実際にデータの肥大化は近年急速に進んでいます。今回のローンチイベントでは「データは2年で3倍に」という統計データも提示されました。
データ増加に伴う運用コストの増加はパーティションで対処可能です。例えば読み書きが多く使用頻度の高いデータを高性能なストレージに格納し、ほぼリードオンリーとなった使用頻度の低いデータをさほど高性能ではないストレージに格納することができます。高性能なストレージとなるとデータ当たりのコストもかさみますので、こうやって使用頻度で分割することはコスト面でも効果的です。
こうしたデータを利用目的や頻度で効率的に管理していくことをInformation Lifecycle Management(ILM)と呼びますが、これでストレージのコストを5分の1に圧縮できるという試算も示されました。またパーティションに加えてデータを圧縮するとさらに効果的です。11gではデータの圧縮技術も向上しており、パーティションにデータ圧縮を組み合わせるとILMはさらに効果を高めることができます。
ただし実際にはパーティションをどのように分割するか、またその作業負荷も切実な問題です。分割方法については運用するデータの性質次第ですが、例えば発注データなら年次や月次で分割、または地域ごとに分割、はたまたこれらを組み合わせた分割などが考えられます。11gではパーティションの自動化に加え、最適なパーティション分割を提案する「Partition Advisors」が提供されるようになります。
パフォーマンスを向上させる技術はまだほかにもありますが、11gのローンチイベントでは以下のパネルで掲示されていました。11gでは多角的にパフォーマンス向上が見込めるということです。
図 Oracle Database 11gローンチイベントで示されたパフォーマンス向上に関するオラクル社の内部資料 |
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連載 Database Watch 8月版 Oracle Database 11gはどこが新しくなったのか |
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1 ・オラクル創業30周年のコンセプトは「変革の加速」 ・さらなる可用性向上へ |
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Page 2 ・データの多様化とセキュリティ ・ベータテストで好評のテスト機能 ・今後の注目イベント |
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