Database Watch 9月版 Page 2/2
ORACLE MASTERをごっそりマイクロソフト陣営へ
加山恵美
2007/9/13
■「リアル」がウリのOracle Database 11g
マイクロソフトから標的にされたオラクルですが、Oracle Database 11gのリリースを目前に控えています。11gの新機能は先月の8月版「Oracle Database 11gはどこが新しくなったのか」で触れましたが、大きく掲げたテーマが「顧客のIT課題を解決しビジネス変革を加速する」です。これは「Real Customer Release」ともいうそうです。
さらに日本のオラクルがかなり力を入れてアピールしているのは「Real Application Testing」です。アプリケーションのテストを実施する期間が大幅に短縮できるようになります。これは特に日本の企業からの要望が大きい機能だったそうです。システム変更でテストが不十分だとシステム障害が発生する可能性がありますし、だからといってテストを忌避するために塩漬けにすればシステムは陳腐化してしまいます。テストができたとしてもその運用管理コストはばかにならず、テストに関しては多くの現場が頭を抱えている問題のようです。このReal Application Testingはシステム変更の救世主となるでしょうか。
Oracle Database 11gはいつから入手できるかというと、プラットフォームごとに出荷日は違います。最初はLinux x86プラットフォームで、これが10月23日からです。それ以外はすべて2007年中を予定しています。
最初の出荷日となる10月23日には「Oracle Summit 2007 - Oracle Database 11g Launch」を開催します。基調講演ではOracle Database開発責任者、アンドリュー・メンデルソン(Andrew Mendelsohn)氏が来日して11gの全貌を話す予定です。また来場者にはもれなくOracle Database 11gの解説本がもらえます。
- Oracle Summit 2007 - Oracle Database 11g Launch
2007年10月23日(東京・グランドプリンス赤坂)
2007年10月25日(大阪・ウェスティンホテル大阪)
11gの導入を推進するためにオラクルでは「レディネス強化対策」としてOracle GRID Centerをフル活用してパートナーとの共同検証を行い、ベストプラクティスを作成し、フィールドへの展開を行う計画です。またパートナー向けの無償トレーニングも積極的に実施し、2007年10月までに3000人が参加する予定です。技術者に11gの確かなスキルを会得してもらい、導入に弾みをつけるためでしょう。
■IBM DB2も来年には次バージョンを投入
オラクルの11g、マイクロソフトの2008の陰に隠れてしまいましたが、IBMも次期版を着々と用意しています。現行の最新版はDB2 9ですが、これのコードネームを覚えていますか? そう、「Viper」(毒ヘビ)でした。
DB2 9の次は毒ヘビ第2弾で、DB2 Viper 2です。もちろん、まだコードネームです。しかし2007年6月から「DB2 Viper 2 Open Beta Program」としてダウンロードが可能となっています。
IBM DB2 Viper 2の特徴は、現行のDB2 9の特徴でもあるXML機能(pureXML)をさらに強化していることやデータ圧縮などが挙げられます。XML機能については念入りに機能強化が進んでいるようで、IBMのXMLへの気合いが感じられます。
例えばXML文書の一部を更新する場合、これまでは全体をリプレイスしなくてはなりませんでしたが、Viper2では部分更新が可能となります。これはXQueryのtransform表現をサポートすることで実現しています。transform表現はまだW3Cで策定中で勧告になっていませんが、先行して組み込むようです(DB2 9のXQueryもそうでした)。これ以外にも細かいXML機能の強化がいろいろとあるようです。
IBM DB2 Viper 2の詳しい話はもう少し先になるかもしれませんが、これから来年にかけてじわじわと話題になってくることでしょう。
ではまた来月、お会いしましょう。
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連載 Database Watch 9月版 ORACLE MASTERをごっそりマイクロソフト陣営へ |
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Page 1 ・次は「2008」、Microsoft SQL Server ・SQL Serverは2008でどう進化するか ・オラクルのエンジニアもいらっしゃい |
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Page 2 ・「リアル」がウリのOracle Database 11g ・IBM DB2も来年には次バージョンを投入 |
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