MySQLユーザカンファレンスで
来年の展望をウォッチ
2008/11/26
MySQLユーザカンファレンスでは早くも来年の展望が
まだ今年を振り返るには早いのですが、2008年の大きなニュースの1つにサン・マイクロシステムズ(サン)とMySQLの統合があるかと思います。年明けすぐに発表があり、春には買収が完了し、夏には日本法人の統合も済ませてしまいました。
MySQLユーザカンファレンス 2008
写真1 会場エントランス (サン・マイクロシステムズ 大渕雅子さん撮影) |
そして秋、10月30〜31日の2日間、サンが「MySQLユーザカンファレンス 2008」(写真1)を主催しました。イベントは今回で3回目ですが、サン主催となったのは初めてです。初回はスウェーデン大使館で、2回目はお台場の国立科学博物館で、そして今回は東京ステーションコンファレンスで。回を重ねるたびに規模が急速に拡大していることに驚かされます。
拡大しているのはイベント規模だけではなく、ビジネス規模もです。基調講演で登壇したサン・マイクロシステムズ MySQLビジネス統括本部長 アジアパシフィックディレクター 矢崎博雅氏は「サンがMySQLでビジネスを始めた3年前からビジネスボリュームは飛躍的に伸びた」と述べていました。どのくらいかというと参加者に配布したMySQLの小さなマスコットからイベント用の特製ぬいぐるみくらいだとか(写真2)。インコから人間の園児ほどの急成長です。
写真2 「このぬいぐるみのサイズ比くらい」MySQLのビジネスは拡大した (サン・マイクロシステムズ 大渕雅子さん撮影) |
サン・マイクロシステムズがMySQLと統合したことでMySQLへの注目度も着実に高まっています。統合の発表後には月間ダウンロード数は5万となりましたが、最近ではもう少し伸びて月間6万を超えています。1カ月間にMySQLをダウンロードした地点をプロットすると「世界地図が浮かび上がる」と矢崎氏は話していました。MySQLへの関心は全世界に広がっているということです。
なお、イベント当日の写真は、サン・マイクロシステムズ 大渕雅子さん撮影のものを提供していただきました。大渕さんのブログ(「オオフチマサコのWeblog」)にはこの他にも当日の様子がうかがえる写真がたくさん掲載されています。MySQLをはじめ、Java関連情報なども網羅されているのでブックマークしておくとよさそうです。
MySQLの最新ロードマップ
さて、この先はどうでしょうか。冬にMySQLは次期バージョンとなる5.1をいよいよリリースする見込みです。10月28日には5.1.29-rcがリリースされていますから、まさにあともう少し。米サン・マイクロシステムズのデータベース シニアプロダクト マーケティングマネージャ Jimmy Guerrero氏によると正式版のリリースは2008年12月を予定しているそうです。MySQLにとって躍進の2008年は5.1の正式版リリースで締めくくることになりそうですね。
MySQL 5.1で予定されている新機能は主にパーティショニング、行ベースのレプリケーション、クラスタでディスクベースのデータにも対応することが挙げられています。特にパーティショニングはデータ管理を容易にし、行ベースのレプリケーションでは使用するリソースを抑えることができるのでパフォーマンスアップが期待できます。またクラスタでディスクベースのデータに対応することはGuerrero氏いわく「significant」と特に重要な点であり、巨大なデータベースでも利用できるようになります。
その次の6.0についても少しだけ話がありました。特徴はFalconストレージエンジンへの対応、オンラインバックアップなどです。最新版は10月25日にリリースされた6.0.7-alpha。その名のとおりアルファ版です。今後の方向性はまだまだ流動的で、変更の可能性もありますが、ベータ版は2009年中ごろ、正式版は2010年になる見込みだそうです。
それにしてもMySQLにとって2008年は激動の年でした。当初、MySQL関係者にとっては、サン・マイクロシステムズと統合するというニュースは衝撃的であり、不安を感じた人も少なくなかったようです。ネットでは「今後MySQLはJavaやSolarisなどの環境に特化してしまうのではないだろうか」という憶測も流れたとか。しかし、サンはすでにそうした憶測を否定しています。
基調講演に登場したMySQLユーザ会(MyNA)副代表の坂井恵氏も当初心配したそうですが、時間がたつにつれ「サンならなんとかしてくれそうだ」と不安から安心へと変わったようです。いい統合になってよかったですね。
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