企業やコミュニティのボーダーを越えて
2010/8/23
オラクル、3年ぶりにBI製品を刷新
7月29日、日本オラクルは「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition 11g」(以下、Oracle BIEE 11g)を発表しました。
ビジネスインテリジェンスも「11g」 オラクルがBI新版を発表
http://www.atmarkit.co.jp/news/201007/08/obiee11g.html
オラクル、ビジネスプロセスと連動できるBI新製品
http://www.atmarkit.co.jp/news/201007/29/oracle.html
BI市場はIT業界では成長分野なので、データベース関係各社はどこも力が入っています。オラクルもしかり。3年ぶりにBI製品刷新で、販売戦略をより強化しようという意気込みに満ちています。
Oracle BIEE 11gでは近年買収した製品との統合や、機能追加・改善が行われ、オラクルが最近よく口にする「コンプリート」により近づいています。Oracle BIEE 11gはBIで使われるレポーティング、分析、スコアカードの機能がまとめて提供されているため、一元的に使えるというメリットがあります。そして運用はOEM(Oracle Enterprise Manager)で透過的に管理できるため、運用コストの削減にもつながると期待できます。
また画期的なのがアクションフレームワーク、つまりBIとビジネスプロセスとの連携です。BIはビジネスの膨大なデータを分析し、次の戦略策定に役立てていくためにあります。しかしいくらBIが稼働していても分析に時間がかかったり、行動に移せなかったら意味がありません。そこでアクションフレームワーク。BIで得た「気付き」をBPEL(Business Process Execution Language)を用い、ビジネスプロセスに即座に反映させるという仕組みです。分析だけではなく、行動に移せるBIとなっています。
加えてユーザーインターフェイスも改善されています。ユーザーがダッシュボードを開くと、最近使用したデータや人気のデータ一覧が表示されるなど、ユーザーごとにカスタマイズされたポータル画面のようになっています。またマップ視覚化、動きのあるインタラクティブなグラフ表示が可能となっており、視覚効果も強化しています。
11g製品とサンの対応もコンプリート
BIに続いて、OEMも11gです。こちらは7月27日から提供開始となりました。確か前のバージョンとなるのはOEM 10g R5(2009年5月から提供)なので、いよいよOEMも11gを冠することになったのですね。
OEMは1990年代から提供されていましたが、本格的に普及し始めたのはOracle8iの前後だそうです。当時はデータベース管理が主でしたが、いまではハードウェアからソフトウェアまで、また先述したBIなど、あらゆるオラクル製品を統合的に管理する製品へと発展してきました。
11gではさまざまなシステム管理機能が統合され、管理費用削減や管理者の生産性向上が期待できます。いまでもOracle8iや9iと同時期のOEMをお使いのユーザーがOEM 11gを見ると「なんだこの便利なツールは?!」と驚くそうです。そのくらいOEMは管理可能な範囲をめきめきと拡大しているということです。
オラクルはOEM 11gで「ビジネス主導型IT管理」とキーワードを掲げています。ビジネスの視点からITを管理し、ビジネスの生産性を最大化するためのIT管理という位置付けです。特にオラクルのアプリケーション管理機能は範囲を広げています。E-Business Suite、Siebel、PeopleSoft、JD Edwardsなどこれまで買収した製品群も含め、アプリケーション管理、ユーザー監視、テスト、構成管理などほぼ網羅できるようになりました。
また新機能として並ぶのは11g製品群と旧サン・マイクロシステムズのシステム向けの機能対応です。具体的にはOracle Fusion Middleware 11g、Oracle Database 11g R2、Oracle Exadata V2、加えてSun Systemsです。Enterprise Manager Ops Centerでは物理層に仮想Sunシステムからファームウェアまで管理できます。
こうして幅広く管理することにより、より深くシステムを診断できるようになります。何かのシステムがダウンしてから障害を検知するのではなく、普段から稼働状況を多角的に把握できるようになり、早めの対策が可能となります。
中でもReal Time SQL Monitoringはバッチ処理の進行状況を監視し、リソースの使用状況や進行状況などが分かり、ボトルネックを発見しやすくなります。日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は「地味だが、こういう機能の積み重ねから日本のITを進化させる」と話していました。
ところで映画「アイアンマン」では主人公のトニー・スタークが「グリットセンターに接続する」といってOEMを操作するシーンがあるのだとか。これからOEMを開く時にはアイアンマンになった気分でシステム管理してみてはいかが?
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