SQL Server 2005 CTPレビュー(DBA編) Page 1/3

お家芸の“使いやすい管理ツール”は期待どおり


株式会社システムインテグレータ
石橋 潤一
2005/9/30
本連載は全3回にわたり、2005年11月にリリースされるSQL Server 2005のレビューをお届けする。5年ぶりとなるメジャーバージョンアップであり、搭載される新機能は多岐にわたるが、ここでは「開発者」「データベース管理者」「エンドユーザー企業のITマネージャ」という3者の立場から、導入に当たってどんなメリットや注意点があるかを解説していく。(編集部)
主な内容
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管理ツール群の大幅強化による運用性向上
--Page 2--
 −Management Studioにおける開発生産性の向上
 −Integration Services(旧DTS)の刷新
--Page 3--
データベースミラーリングによる可用性と拡張性の大幅な向上
まとめ

 前回お送りした「開発者編」に続き、今回はデータベース管理者(DBA)の視点からSQL Server 2005 CTPのレビューをお送りします。

 と、その前にまず開発者編について簡単な復習をしておきましょう。

 前回の開発者編では、主にSQL CLRによる開発生産性向上とそのパフォーマンスを取り上げました。データベースを利用したアプリケーションで問題となりやすいパフォーマンスや生産性について、マイクロソフト社が新たに提示したのがSQL CLRです。

 .NET FrameworkをベースとしたSQL CLRでは、ストアドプロシージャをおなじみのC#やVB.NETなどの言語で開発することを可能とし、Visual Studioという非常に優れた統合開発環境と併せて開発生産性に大きく貢献する可能性を秘めています。

 ただ、SQL CLRも万能ではなくパフォーマンスという視点では、長年技術を蓄積してきたTransact-SQLに譲る部分もありました。これらのことから、SQL Server 2005の導入により利用可能となるSQL CLRは決して万能ではないが、今後のアプリケーション開発で大きなインパクトを持つ、というのが前回のまとめとなります。

 そして今回はデータベース管理者からの視点ということで、運用や保守のシーンでSQL Server 2005がどのような進化を遂げているかを確認していきたいと思います。

 データベース管理者と一口にいっても、その業務は非常に多様です。データベースの導入から管理運用、データのバックアップやチューニングなど、決して目立ちはしませんがアプリケーションを裏から支える重要な存在といえるでしょう。

 データベースは常にアプリケーションに利用されているため、運用保守でのミスでいたずらに時間を浪費することは決して許されません。データベース管理者としてSQL Server 2005はスムーズに運用することができるか? 今回はそのような視点でSQL Server 2005の新機能レビューを行っていきます。

本記事は執筆時点(2005年8月)に入手可能な最新プレビュー版「SQL Server June 2005 CTP(Community Technology Preview)日本語版」に基づいて執筆しています。記事の内容は製品版とは異なる部分もあることを明記しておきます。

管理ツール群の大幅強化による運用性向上

 SQL Serverの優位性を考えたとき常に話題に上るのが、管理ツールの使いやすさです。データベースの作成から更新、バックアップなどそのほかほとんどの管理業務を統一されたGUIを利用して行うことができ、難解なコマンド集や使いづらいツールに煩わされることもありません。SQL Server 2000ではEnterprise Managerやクエリアナライザ、Analysis Services分析マネージャなどが標準管理ツールとして提供されていました。

 SQL Server 2005でも当然ながらこの流れを継承・発展させており、上記に挙げたツールなどが新たに用意されたSQL Server Management Studio(以下、Management Studio)に統合されています。Management Studioではデータベースの作成管理からクエリの実行、Integration Services(これまでのDTS)、Analysis Servicesの管理機能などデータベースを利用するうえで必要な機能をひととおりそろえています。

 また、Management Studioは単純にツール群を統合しただけでなく、さまざまな点で強化が図られています。ディスクの細かな使用状況や、ユーザーの統計情報などをビジュアルで把握できるレポート機能(図1)、複数あるオブジェクトを絞り込み検索することのできるフィルタ検索機能などが加わっています。そのほか、選択・更新・削除を問わないクエリデザイナや、SQL Serverオブジェクト作成用テンプレートとなるテンプレートエクスプローラなどDBAの助けとなる多種多様な機能が実装されています。

図1 レポート機能(クリックすると拡大します)

次ページへ続く)

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 Index
連載:SQL Server 2005 CTPレビュー(DBA編)
お家芸の“使いやすい管理ツール”は期待どおり
Page 1
・管理ツール群の大幅強化による運用性向上
  Page 2
 −Management Studioにおける開発生産性の向上
 −Integration Services(旧DTS)の刷新
  Page 3
・データベースミラーリングによる可用性と拡張性の大幅な向上
・まとめ


SQL Server 2005 CTPレビュー


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