データベーススペシャリスト試験攻略のツボ(8)

「計算」に関する問題


西沢直木
2008/12/17

 本連載では、テクニカルエンジニア(データベース)試験に対応できる知識を確認していきます。多岐にわたる知識が問われる試験ですので、受験する方はもちろん、日常業務ではあまり使うことのない技術知識の確認にも役立ててください。
目次
今回の出題範囲
19年-午前問題-問9/19年-午前問題-問8/17年-午前問題-問2








8-2 ページング方式の仮想記憶

 ページング方式の仮想記憶において、要求された命令が主記憶で見つかる確率をhとするとき、n命令を実行するのに必要な時間はどれか。ここで、ページフォールトが発生しないときに1命令を実行する時間をtとし、ページフォールト発生時の処理にa命令分の処理時間が余分にかかり、補助記憶との入出力時間は考慮しないものとする。

 n(1−h)at

 nht+n(1−h)at

 nt+(1−h)at

 nt+n(1−h)at

(19年-午前問題-問8)

答え

解説

 処理にかかる時間を、ページフォルトが発生した場合と発生しない場合について求めて合計します。

・ページフォルトが発生しないとき

 n回の命令について、1命令を実行する時間がtなので、実行にかかる時間はntとなります。

・ページフォルト発生時

 n回の命令について、要求された命令が主記憶で見つかる確率がh、つまり、(1−h)の確率でページフォルトが発生します。従って、ページフォルトが発生する回数は、n(1−h)回です。この命令1回について余分にかかる時間は、問題文の「a命令分の処理時間が余分にかかり」からatとなります。従って、ページフォルトの発生時は、n(1−h)×atだけ余分な実行時間がかかることになります。

・合計

 ページフォルトが発生した場合としない場合の実行時間を合計すると、「nt+n(1−h)at」、つまり、選択肢「エ」が正解です。



column:来年以降は朝から油断できない:午前I問題がポイントに

 来年以降、データベーススペシャリスト試験を含め、高度試験区分の問題は、午前I、午前II、午後I、午後IIという構成になります。このうち、朝9時30分から始まる午前I問題がポイントになるかもしれません。

 午前Iは、データベーススペシャリストを含め、ほかの高度試験と共通の問題です。30問出題され、60点以上取らないと午前IIの採点が行われません。つまり、午前Iで失敗すると、それ以降の問題(午前II、午後I、午後II)でばん回することはできず、その時点で不合格になります。午前Iの免除制度もありますが、ほかの区分の合格などといった条件があるので、いずれにせよ一度は午前Iを通過しなければなりません。

 この午前Iは「高度試験で共通」という点がポイントで、これまでのテクニカルエンジニア(データベース)試験の午前問題では範囲外だった、「ネットワーク」や「経営戦略」、「企業と法務」などの分野からも出題されます。分野ごとの出題数は不明ですが、「データベース」だけを集中的に学習し、「苦手分野のマイナスはデータベースの問題でカバー」という作戦では足をすくわれる危険もあります。

 従って、データベースの学習をする一方で、午前I問題で最低でも6割を取れる程度の対策も必要です。出題傾向が見えないので対策も難しいと思いますが、新制度の午前I問題の範囲やレベルは、情報処理技術者試験のWebサイトから[新試験制度について]−[試験要綱]を選択)で確認できます。それを見ると、新制度の「応用情報技術者試験」と近い内容といってよいかもしれません。旧制度でいえば、ソフトウェア開発技術者試験の範囲に「経営戦略」などの分野が加わったイメージです。
 これらの試験教材、または「高度試験の午前対策(新制度対応)」などのタイトルが付いた書籍などを一度手に取ってみることをお勧めします。



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Index
データベーススペシャリスト試験攻略のツボ(8)
「計算」に関する問題
問8-1 M/M/1の待ち行列
コラム:高度試験全体で頻出度が非常に高い「M/M/1の待ち行列」
問8-2 ページング方式の仮想記憶
  コラム:来年以降は朝から油断できない:午前I問題がポイントに
問8-3 ディスプレイの解像度と色数

データベーススペシャリスト試験攻略のツボ


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