最新RDBMS選びのポイント

[DB Interview]
最新RDBMS選びのポイント 〜情報系システム〜(後編)

データベースとBIの“微妙”な関係を理解しよう

アイエイエフ コンサルティング
平井明夫
2006/8/8

データベースの近未来をキャッチアップする眼を養っておこう

 今後2〜3年の“近未来”では、データベースは現在の流れを見る限り、よい方向に向かっていけると思います。

 具体的には、オラクルがOracle 10gを本当に使いやすくしたことがあります。完全ではないにせよ、本当の“Easy to Use”ということを考えて、しっかりと作り込んできたことが分かります。一方SQL Server 2005も、こちらは本気でエンタープライズを意識して作ってきたという意気込みが強く伝わってきます。ライバル同士がお互いに、新しい流れを作り出すバージョンを出してきたというのは、大きな出来事だったと思います。今後この良さをいかに出していけるかが、両社ともに勝負だと思います。

 データベースエンジニアとしては、いままでOracleをやっていた人間なら、ミッドレンジのユーザーに対して、限られた予算でどれだけ有効なOracle 10gでの提案を考え出せるか。一方SQL Serverのエンジニアならば、DBAの存在を前提としてチューニング可能なRDBMSに変わったSQL Server 2005にどうキャッチアップして、エンタープライズ市場を切り開いていくかが問われると思います。

 Oracle 10gとSQL Server 2005の適用範囲が重なってきたことで、データベースエンジニアはこれまで以上に両製品に対する知識を要求されるようになるでしょう。「ハイエンドはOracle、ミッドレンジならSQL Serverで提案しておけば大丈夫」という時代ではなくなったということです。

 いずれにしても、有力なデータベース・ベンダの2社がこうした方向に進路を定めたというのは、時代の流れとして、またデータベース技術の進化のベクトルとしてこれしか方向はないという判断があったと思うし、それを実際に新バージョンとして実現したというのを高く評価すべきでしょう。

 ユーザーから見るとこうした流れは、どういっても悪い流れではないと思います。単純に選択肢が増えたという点でも良いことですしね。SIer(システムインテグレータ)は何を基準にデータベース製品を選択し、システムを設計していくか、提案する側の力量がますます問われることになっていくでしょう。そして本当に良い提案がきたときに、すかさずそれを選べるような眼を養っておくことが、ユーザーには求められているのではないでしょうか。(終わり)


プロフィール
アイエイエフ コンサルティング
平井明夫

DEC(現HP)、コグノス、オラクルを経て現職。一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特に、データウェアハウス・BIを得意分野とする。現在は、BI技術の啓蒙のため、講演・執筆に積極的に取り組んでいる。

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 Index
[DB Interview]
最新RDBMS選びのポイント 〜情報系システム〜(後編)
 データベースとBIの“微妙”な関係を理解しよう
  Page 1
・BI専門ベンダを駆逐したデータベース・ベンダ
・Office統合で攻めるSQL Server、OracleはERPからアプローチ
  Page 2
・BIツールはパワーユーザー向けから誰でも使えるツールに
・特殊な分野の特殊なニーズに応える生き残り条件とは?
Page 3
・データベースの近未来をキャッチアップする眼を養っておこう


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