特集:初めてのVisual Studioアドイン(前編)

開発環境Visual Studioをカスタマイズせよ!

株式会社NTTデータ
技術開発本部 ソフトウェア工学推進センタ
瀬下 真吾
2009/01/20
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アドインの実行

 アドイン・ウィザードを利用するとアドイン・プロジェクトにConnectクラス(Connect.cs)が生成されます。Connectクラスにはアドインのサンプル実装がされているため、そのままアドインとして実行することができます。

図2-11 アドイン・プロジェクト

 それでは試しに、次の手順でアドインを実行してみましょう。

  1. デバッグ実行の開始
  2. コマンド表示の確認
  3. コマンドの実行

1. デバッグ実行の開始

 デバッグ実行を開始すると、Visual Studioがもう1つ起動します。

2. コマンド表示の確認

 起動したVisual Studioのメニューバーから[ツール]を選択して、[SampleAddin]というコマンドが表示されることを確認してください。

図2-12 コマンドバー(=メニューバー上のコマンド)の表示を確認

 このようにメニューバーにコマンドが表示されるのは、生成されたひな形コードに「メニューバーの[ツール]にコマンドを追加する」処理が実装されているためです。この処理は、ConnectクラスのOnConnectionメソッドに実装されています。

3. コマンドの実行

 [SampleAddin]コマンドをクリックして実行してみましょう。あれっ? 何も起こらないですね……。実は、ひな形コードではコマンド実行時にユーザーの目に見えるような処理は実装されていません。

 そこで、コマンドが実行された時に、メッセージボックスを表示する処理を実装してみましょう。デバッグ実行を中止し、アドイン・プロジェクトにあるConnectクラスのExecメソッドに、次の太字部分のように記述します。なお、メッセージボックスを表示するMessageBoxクラスを利用するには、アドイン・プロジェクトの参照設定にSystem.Windows.Forms.dllを追加する必要があります。

public void Exec(string commandName, vsCommandExecOption executeOption, ref object varIn, ref object varOut, ref bool handled)
{
  handled = false;
  if(executeOption == vsCommandExecOption.vsCommandExecOptionDoDefault)
  {
    if(commandName == "SampleAddin.Connect.SampleAddin")
    {
      // メッセージボックスを表示する処理を1行追加
      System.Windows.Forms.MessageBox.Show("Hello World");
      handled = true;
      return;
    }
  }
}
ConnectクラスのExecメソッド

 それでは、もう一度デバッグ実行を開始し、[SampleAddin]コマンドをクリックして実行してみましょう。正しくメッセージボックスが表示されましたか?

図2-13 コマンドの実行

[参考]アドイン・マネージャとは?

 アドイン・マネージャは、Visual Studioに標準搭載されているアドインを管理するためのツールです。アドイン・マネージャは、メニューバーの[ツール]から[アドイン マネージャ]を選択すると起動できます。

図2-14 アドイン・マネージャの起動

 アドイン・ウィザードで入力したアドインの名前や説明、選択したアドイン・オプションが設定されていることを確認しましょう。

図2-15 アドイン・マネージャ
利用者はアドイン・マネージャを使ってアドインを管理する。
  使用するアドインにチェックを入れる。
  [スタートアップ]アドイン・オプション(ホスト・アプリケーションの開始時にアドインを読み込むか)を選択する。
  [コマンド ライン]アドイン・オプション(アドインでモーダルUIを表示せずにコマンドライン・ビルドで使用できるようにするか)を選択する。
  アドインの説明が表示される。

 この章ではアドイン・ウィザードを利用したアドイン・プロジェクトの作り方、そして、アドインの実行方法を説明しました。次の章ではアドイン・プロジェクトの構成や内部動作について説明していきます。


 INDEX
  [特集]初めてのVisual Studioアドイン(前編)
  開発環境Visual Studioをカスタマイズせよ!
    1.Visual Studioの機能を拡張する3つの方法
    2.アドインを作成してみよう
  3.アドインを実行してみよう
    4.アドイン・プロジェクトの中身を見てみよう
 
  [特集]初めてのVisual Studioアドイン(中編)
  Visual Studioアドインを実装しIDEで使う!
    1.コンテキスト・メニューにコマンドを表示する
    2.コマンド実行時にXMLファイル編集画面を表示する
    3.コマンドをいろいろな場所に表示してみよう
 
  [特集]初めてのVisual Studioアドイン(後編)
  Visual Studioアドインを配布する!
    1.Visual Studioにアドインが登録される流れ/アドインの配布に必要な作業
    2.インストーラの作成手順


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