連載

世界のWebサービス ― 究極のWebサービスを求めて ―

第8回 iモードからMSN Messengerへメッセージを送る

田口景介
2001/09/18


 今やWWWブラウザとメーラに並ぶ、主要インターネット・アプリケーションの1つに数えられるアプリケーションがインスタント・メッセージング(IM : instant messaging)である。国内ではICQ、AIM(AOL Instant Messenger)、MSN Messengerあたりがメジャーどころだろうか。メール以上、電話未満のリアルタイム性がちょっとした連絡にちょうどいい、コミュニケーション・ツールである。10月リリース予定のWindows XPには、MSN MessengerとNetMeetingの機能を統合したWindows Messengerが標準搭載され、よりいっそう身近なツールとなることだろう。また.NET的には、Windows Messengerが各種インターネット・サービスにおけるユーザー認証を統括するMicrosoft Passportの取得を促す、尖兵としての役割も果たすはずだ。

 かくいう筆者も普段からMSN Messenger(このソフトは「MSN Messenger Service」からダウンロードできる)を便利に使っているのだが、1つ不満がある。それはクライアントがWindows版とMacintosh版しか用意されていないことだ。外出中に、ショートメール代わりにPDAや携帯電話からメッセージを送信できればと思う。そこで、Webサービスである。iモードのようなWWWブラウザ搭載携帯電話でWebアプリケーションへアクセスし、そこからWebサービスの力を借りて、MSN Messengerへメッセージを送ることにしよう。WebサービスとWWWブラウザさえあれば、専用のクライアントがなくてもIMを利用可能になる。

iモードからMSN Messengerへメッセージを送る

 次の画面が今回作成したMSNSenderである。iモードで表示することを考慮して、最低限のコンポーネントだけを配置している。

MSNSenderの実行画面
Webアプリケーションとして作成したMSNSender。MSN Messengerへメッセージを送ることができる。iモードでの表示を前提としているため、シンプルにデザインしてある。

 これを実際にiモードでアクセスすると、次の写真のようになる。

iモードでMSNSenderへアクセスしているところ
iモードからアクセスするとテキスト・ボックスがぴったりと画面に収まる。

 そして、iモードからメッセージを送信すると、受信者のMSN Messengerには次の画面のようにメッセージが表示される。

メッセージを受け取ったところ
MSNSenderから届けられたメッセージはすべて「evil_mess」からのメッセージとして表示される。また、MSNSenderへと返信メッセージを送ることはできない。

 iモードからメッセージを送信する仕組みを下の図に示す。前回まではサンプル・プログラムをWindowsアプリケーションとして作成してきたが、今回のサンプル・プログラムはiモードからアクセスするため、Webアプリケーションとして作成している。このWebアプリケーションが図中のMSNSenderである。Webアプリケーションといっても、iモードから見れば拡張子が.aspxの単なるWebページでしかない。URLを指定してMSNSenderを開き、フォームに宛先とメッセージ文を入力すれば、メッセージが送信される仕組みになっている。このため、MSNSenderをiモードから使うには、インターネットからアクセス可能なIIS(Webサーバ)を用意する必要がある。Code Redの件があるうえ、未だベータ版にすぎない.NET FrameworkをインストールしたIISをインターネットへさらすのは危険を伴う可能性があるので、実際に動かしてみるにしても、実験程度にしておいた方がよいだろう。また、@ITが運営するIWebMethod.NETMSNSenderを公開しているので、試してみたい方はこちらをアクセスして欲しい。このURLは次のようになっている。

http://www.iwebmethod.net/wwebserv/MSNSender/SenderForm.aspx

iモードからMSN Messengerにメッセージが届くまで
  iモード(携帯電話)から今回作成したWebアプリケーションであるMSNSenderのページにアクセスしてメッセージを送信する。
  MSNSenderでは、www.brains-n-brawn.comで公開されている「MSN Messenger Webサービス」を利用してメッセージを送る。
  MSN Messenger Webサービスは、Microsoftが運営しているMSNのサーバ経由で、送信相手のPCで動作している「MSN Messenger」にメッセージを送る。
  最終的にPCのユーザーは「evil_messの発言」として、メッセージを受け取ることができる。
 
 

 INDEX
  [連載]世界のWebサービス―― 究極のWebサービスを求めて ――
第8回 iモードからMSN Messengerへメッセージを送る
    1.MSN Messenger Webサービス

「世界のWebサービス」


Insider.NET フォーラム 新着記事
  • 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
     ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている
  • 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
     Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう
  • 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
     C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える
  • Presentation Translator (2017/7/18)
     Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Insider.NET 記事ランキング

本日 月間