[UMLツールレビュー]
UMLモデリングツール、使いやすさの鍵とは?
有限会社メタボリックス
山田正樹
2003/6/24
【レビューの基準】
このシリーズでは、世の中に数多く存在する、「UMLツール」を取り上げ、 実際にモデルを描きながらレビューしていく。レビューの最大のポイントは「ツールを使うことで世界はよくなるか」。つまり、よりよいソフトウェアを、より早く、より楽しく作るのに役立つツールかどうかを検証することである。この答えはもちろん1つだけはない。人によって、プロジェクトによって、答えが変わってくるのは仕方がない。また、実際にプロジェクトに使用したとしても、ここに書いたとおりになるとは限らないのは言うまでもない。
レビュー対象のツールは、値段や機能、対象ユーザーや目的がそれぞれ千差万別である。ツール群を横に並べ、Excelの表を作るように点数付けを行うことは無理であると同時に意味がない。ゆえに、このレビューでは、ツールごとに実際にモデルを作成していく過程をレポートしながら、気付いた点、面白かった点、よくなかったと思える点を正直に書いていこうと思う。もちろん、共通の尺度を使用して定量的な評価が行える部分はレポートの中で触れていく。
実際にモデルを描く人(私)は、UML歴6年ほど、いろいろなお客さまのところに伺って、いろいろなモデリングのお手伝いをさせていただいたり、UMLツールを作ったり、メタモデルを眺めてあれこれ理屈こねたりするのが生業(なりわい)である。
なおこのシリーズの執筆に当たっては、UML-jpメイリング・リスト(http://www.tech-arts.co.jp/oo/uml-jp/)の皆さんに多大なご協力をいただいた。ここに記して感謝の意を表したい。
描くモデルは私が「UMLトレーニング入門編」セミナーの例題に使っている、図書館管理システムのモデルである(拙著『体験オブジェクト指向 はじめるUMLモデリング』(2003年、技術評論社刊、1980円)。モデル自体はすでにあるので、考えながらモデルを描いていくプロセスとは微妙に違ってくるが、もし、ツールが独自の機能を持っているなら、できるだけそれも使ってみる。モデルそのものは確かに完全なものではないが、実用的なものであることは確かだ。枚数にして40枚以上ある。
ラウンドトリップ・エンジニアリングの検証にはJavaで書かれたフレームワークJUnit 3.8.1(http://www.Junit.org/)を使う。ファイル数は47、全部で5000行程度の小さなプログラムである。
UMLツールを動かすマシンは、私がトレーニングなどに持ち歩いているソニーVAIOノートSR。CPUはCeleron 650MHz、メモリは384Mbytes、OSはWindows
XP Home Edition(SP1)、液晶は10.4inchで1024×768の24bitフルカラーだ。キーボードは17mmピッチで打ちやすいとはとうていいえない。今回の作業ではタッチパッドの代わりにいつも使っているLogitechのTrackMan
Marble Wheel(3ボタンのホイール付きトラックボール)を使う。動作環境は心許ないが、この程度の環境でさえ、きちんとモデリングができるツールであるのが望ましい。
第1回は、「Rational Rose Enterprise Edition」(日本ラショナルソフトウェア) 、「Konesa Client Evaluation 1.1c」(オージス総研)、「Pattern Weaver Standard Edition 1.1」(テクノロジックアート)を取り上げる。
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INDEX | |
UMLモデリングツール、使いやすさの鍵とは? | |
レビューの基準 | |
Rational Rose Enterprise Edition | |
Konesa Client Evaluation 1.1c | |
Pattern Weaver Standard Edition 1.1 | |
モデリングツールから統合開発環境へ | |
WithClass 7.0J Enterprise Edition | |
Describe Developer for Sun ONE Studio 4 | |
Together Control Center 6.0.1 | |
オープンソース、無償モデリングツールの実力派 | |
Jude 竹1.1 | |
Enterprise Architect 3.51 Professional Edition | |
Poseidon Community Edition 1.6.0_01 | |
まとめ |
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