第7回 ビジネスロジックフックを使って処理を追加する
河村 嘉之
オープンソースCRM株式会社
2009/4/6
カスタムビジネスロジックの実装
では、実際にカスタムビジネスロジックを作ってみましょう。ここでは例として、「商談の金額が200万円以上少ない値で保存されたときに、その商談をチェックするタスク」を作成し、担当者の上司に割り当てるようにします。この処理をビジネスロジックフックを用いて実装してみましょう。
初めに、ビジネスロジックフックの定義を行います。今回は商談に関連するカスタムビジネスロジックを呼び出すため、以下の内容を記述したファイルを、custom/modules/Opportunitiesディレクトリにlogic_hooks.phpという名前で作成します。
今回は保存時に処理が呼び出されるため、ビジネスロジックフックが呼び出されるタイミングはbefore_saveになります。ここで$hook_array変数を作り、そこにbefore_save要素を作成します。
このロジックが呼び出されるタイミングですが、今回作成するビジネスロジックフックのは1つだけで、順番を考慮する必要がないため、1としておきます。
次に、このビジネスロジックをnotify_managerという名前にします。このロジックは、OpportunityCheckerというクラスのnotify_managerメソッドで実装し、そのファイルはcustom/modules/Opportunities/opportunity_checker.phpとします。これらの情報を配列とし、$hook_arrayのbefore_save要素の配列の最初の要素として格納します。
<?php |
次に、ビジネスロジックを実装します。ここでは上記の定義ファイルに従い、OpportunityCheckerというクラスにnotify_managerというメソッドを作成します。このクラスをcustom/modules/Opportunities/opportunity_checker.phpファイルに記述します。
<?php |
このロジックが呼び出されると、保存された商談が$beanというメソッドの引数としてこのメソッドに渡されてきます。
ここで、入力された商談の金額と変更される前の商談の金額を比較します。画面に入力された値は、そのBeanのインスタンスのフィールド名と同じ名前のメンバー変数にアクセスすることによって取得できます。変更される前の値は、そのBeanのfetched_rowという変数に格納されている配列のフィールド名の要素にアクセスすることにより取得できます。
商談の変更前と現在の値を比較し、金額が200万円以上少なくなった場合は、この商談に割り当てられたユーザーの上司を取得し、商談をチェックするタスクを作成し、上司に割り当てて保存しています。これによって、商談の金額を200万以上少なくしたうえでその商談を保存すると、上司にその商談をチェックするタスクが割り当てられます。
さあ、これでカスタムビジネスロジックが実装できました。まず、任意のユーザー(上司フィールドがセットされているもの)でログインし、商談の金額を200万円減らしてみましょう。そしてその商談を保存します。
次に、今度は先ほどのユーザーの上司としてログインし、活動タブからタスクの一覧を選んでみます。すると、商談をチェックするタスクが新たに作成されているはずです。
まとめ
今回は、カスタムビジネスロジックを利用して、Bean本体のソースコードを修正することなくロジックを追加する方法を説明しました。レコードの保存時や削除時にちょっとした処理を加えたい場合、この方法を利用すれば簡単に処理を追加できます。
これまで、いろいろな方法でSugarCRMをカスタマイズする方法を説明しました。しかし、単純にファイルを配置するだけでは、どのようなカスタマイズがSugarCRMに入っているか管理できなくなります。SugarCRMでは、カスタマイズなどをパッケージして取り込む方法があります。次回は、カスタマイズをどのように管理していくかについて説明します。
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