連載:IEEE無線規格を整理する(10)
〜ワイヤレスネットワークの最新技術と将来展望〜

オールIP化の最大の難関、認証の解決方法は?
〜EAPと認証方式〜

千葉大学大学院  阪田史郎
2006/6/26


 今後の展望

   移動体通信と発展方向

 1990年代までは、移動体通信といえば、携帯電話網あるいはセルラー網、すなわち回線交換による音声通話を主体した網のことを指していたが、無線LANの普及に伴い、パケット交換によるデータ通信を主体としたIEEE 802における各種無線ネットワークも移動体通信に含めることが多くなっている。図4に、携帯電話網から見たその発展動向を示す。米国の調査によれば、2007年にモバイル・データ通信の25%が無線LAN、2010年にモバイル・データ通信の35%以上が無線LAN/PAN/MAN上で通信されることが予想されている。

(1)署名鍵と証明書による認証方式: EAP-TLS
(2)3G認証鍵(共通鍵)による認証方式: EAP-AKA
(3)ワンタイムパスワード(OTP)による認証方式: EAP-TTLS/PEAP等
図4 3GPPで検討中のIMT-2000と無線LANとの連携(シナリオ2以降)で想定される認証方式の例

 今後、携帯電話網と無線LANでは埋め尽くせない短距離無線、無線PAN、無線MANの標準化、開発競争がますます激化し、IEEE 802委員会の役割がますます大きくなると思われる。特に、第4世代携帯電話網(4G、IMT Advancedになることも考えられる)のサービス開始が予定されている2012年ごろには、4Gと無線LAN/MANが共存・併用され、一部では競合していくことが予想される。

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目次:IEEEを整理する(10)
<page1> 携帯電話用の拡張可能認証プロトコル(EAP)と認証方式
  <page2> 今後の展望



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