Master of Network
第2回 読者調査結果発表
〜IPv6移行/不正アクセス対策の現状と今後〜


小柴豊
アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当
2000/12/13


 2000年もネットワーク業界の話題はインターネットに終始した。その中でも今年注目を浴びたキーワード「IPv6」「不正アクセス対策」の2点について、第2回 Master of Network読者アンケートの結果を紹介しよう。

笛吹けど踊らぬ? IPv6移行

 11月27日に政府 IT戦略会議がまとめた「IT基本戦略」では、IPv6を重点施策分野として以下のように述べている。

「インターネット端末やインターネット家電が普及し、それらがインターネットに常時接続されることを想定し、十分なアドレス空間を備え、プライバシーとセキュリティの保護がしやすいIPv6を備えたインターネット網への移行を推進する」

 IPv6移行は言わば国家的命題となったわけだが、現時点での推進状況はどうなっているのだろうか?Master of Network 読者の勤務先状況を聞いた結果が下の図1だ。

図1 勤務先でのIPv6対応状況


 これを見ると、IPv6を現在試験導入している企業はまだ2%、「今後1年以内に試験導入したい」を合せても、具体的な導入プランを持っている企業は1割にも満たないという状況だ。大半の読者は「興味はあるが、導入計画はまだない」という段階にとどまっている。では今後、国の目標どおりIPv6を普及させるためには、何が必要なのだろうか?


図2 IPv6導入を進めていくために、重要だと思うこと(複数回答)

 上の図2はIPv6導入を進めていくために、今後重要だと思うことを複数選んでもらったもの。「ルータなど関連機器のIPv6対応」と並び、「IPv6への移行メリット/移行方法などの情報明示」が上位に挙げられた。特に現場の管理者にしてみれば、現在のNAT/IPマスカレードを捨ててIPv6に移行するだけの現実的なメリットが納得できないことには、(実際にアドレス枯渇が目前に迫らない限り)IPv6移行を具体化するキッカケが掴めないのではないだろうか?

参考サイト
Microsoft、Linux、Ciscoなど各ベンダ/プラットフォームのIPv6実装情報
   playground.sum.com の "IPng Implementations"(英語)
IPv6実験サービスを実施しているプロバイダの関連ページ
   NTTコミュニケーションズのIPv6関連サイト
   IIJのIPv6関連サイト
   KDDIのIPv6関連サイト

ファイアウォールを越えた不正アクセス対策へ

 官公庁ホームページ書換えや大手ソフトウェアベンダへのハッキングなど、2000年はネットワークセキュリティの中でも「不正アクセス」がクローズアップされた年だった。そこで不正アクセス対策の各種ツールについて、読者勤務先での「現在導入状況」および「今後の導入希望」を聞いたのが下の図3だ。

図3 ネットワークへの不正アクセス対策導入状況・導入希望(複数回答)


 現状もっとも普及している不正アクセス対策ツールは「ファイアウォール」であり、8割以上の読者企業がこれを導入している。一方、今後の導入希望では、よりプロアクティブなハッカー/クラッカー対策である「不正侵入監視・検知ツール」「セキュリティホール検査ツール」などのポイントが上がっている。インターネットがビジネスに不可欠となるにつけ、機密データのみならず企業の信用を守るためにも、より高度なセキュリティツールの装備が不可欠となりそうだ。

図4 望ましい不正アクセス対策の実施主体


 ではこうした不正アクセス対策を実施する体制は、どのようになっていくだろうか。望ましい不正アクセス対策の実施主体について聞いたところ、およそ7割が自社の情報システム部門またはセキュリティ担当と答えている(図4)。IT関連の各種アウトソーシング/サービス化が進む今日だが、セキュリティについては自社対応が基本となるようだ。ただし読者の16%は「セキュリティ専門のコンサルティング会社」による実施を望んでいることも注目される。同じアウトソーシングするにしても、この分野ではより専門家指向が強くなるのかもしれない。

参考サイト
   IPAの不正アクセス対策室


調査概要

  • 調査方法:Master of Network サイトからリンクした Webアンケート
  • 調査期間:2000年10月25日〜11月10日
  • 有効回答数:108件

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